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「きゃっ!!!」
突然、足元でバシャッと泥が跳ねた。
過去の切ない記憶と苦い感情に囚われていた私は、足首にまとわりつくひんやりとした気持ちの悪い感触で、強制的に引き戻された。
「なにボーっとしてんだよ」
弾けた泥の水滴がついた自分の足元から、声のする方へと視線を上げると、そこには公平が立っていた。
彼の両手には、色鮮やかなふたつの水風船がしっかりと握られている。
さっき公園へ来る途中のコンビニで、彼がどこか楽しそうに買い込んでいたやつだ。
……なんで?
過去のあの記憶と、目の前にいる現在の公平。
二つの時間が頭の中で激しく交錯し、複雑に入り交じっていく。
胸の奥がざわついて、どんな顔をしてどう反応すればいいのか、まったく分からない。
あの夏の日みたいに、次から次へと「思い出の品」を持ち出してきて、公平は一体何をしようとしているんだろう。
何かを私に伝えようとしていることだけは、痛いほど伝わってくる。
だけど公平は、一番肝心な言葉だけは絶対に口に出そうとしないんだ。
またそうやって、言葉を濁して私を惑わせようとしているの――……?
困惑と諦め、そして消し去れない期待が混ざり合い、私は水風船を持つ公平の手に視線を取り残されたまま、じっと立ち尽くしていた。


