全てがキミだった


公平は、私に押しつけられたボールを落とさないように、両手でそっとすくうようにして支えた。

まただ……。
また、あの困ったような、哀しそうな顔をして眉間にシワを寄せる。

……どうして、そんな顔をするの?

胸の奥から、ドロドロとした熱い塊がこみ上げてきて視界が急激に歪んでいく。
今、そんな傷ついたような顔をしていいのは、公平じゃない。私の方でしょ?

いつもいつも、公平はそうやって卑怯なんだ。

優しさと申し訳なさの混ざったその表情で私の前に立つことで、まるで感情をぶつけている私の方が、ひどいわがままを言っている悪者のように思えてくる。

惨いことをしているのは、一体どっちのほうよ……。

ミサキの印がついた思い出のボールを私に押し付けて、自分は綺麗に思い出に浸って、怒られたら哀しそうな顔をして私を追い詰める。

手の中のボールを見つめたまま立ち尽くす公平を前に、私は溢れ出そうになる涙を必死にこらえながら、ただ荒い息を繰り返すことしかできなかった。