全てがキミだった


「その黒い点はさ、自分のボールがみんなのボールと見分けがつくようにって、美咲が付けてくれた印なんだ。もう、かなり薄くなってるけどな……」

公平はどこか遠くを見るような目で、ポツリと呟いた。
目尻を少し垂らして、どこか愛おしそうに、そして切なく微笑む公平。

私の胸の中で渦巻く、破裂しそうなほどの痛みや苦しさを知ってか知らずか、彼はふっと我に返ったように、短く一言「ごめん」と謝った。

――ごめん?

その言葉が、耳の奥で冷たく弾けた。

これだけミサキのことを熱っぽく語っておいて、今更ごめんの一言で片付けようとするなんて。
一体、公平は、私をどんな気持ちにさせたくて、ここへ呼び出したの?

視界が歪みそうになるのを必死で耐えながら、目の前の公平を睨みつけるように見つめる。

ミサキのことを思い出している時の公平は、世界で一番優しくて、甘い光を宿した瞳で微笑むのに。
私と目を合わせて話す時の公平は、いつだってどこか申し訳なさそうに、哀しそうに眉間にしわを寄せるのだ。

いつだって公平は――私を「女の子」としてじゃなく、罪悪感を抱かせる対象としてしか見てくれない。
その痛烈な事実が、真夏の強い陽射しの下で、容赦なく私の心を切り裂いていた。