そしてまた、君と変わらぬ夏を過ごす

「矛盾してますけど」

「それでも、好きなものは好きだし。
湊にはあたしのこと好きになってもらいたいの」

「そうかよ」

そっけない返事になってしまい、申し訳なく思った。

けれど瑞葉に、その態度を気にする様子はなかった。


「とりあえず、付き合ってくれない?愛音先輩のこと好きなままで、いいから」

乾いた笑い声。
声の主は、瑞葉ではなかった。

「はは、んなことしたらクズになるだろ?だから断る」

お前にも申し訳ないしな、と付け足すと、瑞葉は言った。


「湊の言う『クズ』に、あたしはなりたいんだよ」

もちろん、ふたりで。


そう付け足す瑞葉は、悲しそうにしていた。

それこそ、俺が今までに見たことがないくらい。


なんでそんなこと言うんだよ。
なあ、教えてくれよ。


そう聞きたかったのに、口は動いてくれない。

そんなことをしているうちに、瑞葉が言った。


「返事はまた今度でいいや。けど……デートくらいはしてよね」

「デート?ああ、そういえば今度夏祭りあるよな。それ一緒に行くか?」


そういうと、瑞葉は笑って言った。

「去年と変わんないじゃん。まあいいや、それで。待ち合わせ場所とかはメッセで」

じゃ、またね。湊センパイ。


そう、少しだけ俺を煽るようにして言ってから、瑞葉は屋上を去った。