ユーラシア大陸とアメリカ大陸が、沈んだらしい。
地下の爆発か。それとも、地上での爆発か。
震度計は、地下からを指している。
冷戦が終わったから、暖かくなるな。
雪と灰も減っているらしい。
白雪姫が毒林檎を食べ、シンデレラの魔法が解けた。
地上に戻れるかもしれない。
調査が必要だ。
トロッコ問題。
被害は最小限に。
オトナたちの言うことは、僕には難しくて。
よく分からなかった。
僕の仕事は、一つ。
調査をすること。
僕の仕事は、一つ。
線路を引くこと。
僕の仕事は、一つ。
なるべく生きること。
調査といっても、僕は、ただ機械に任せて。
僕は、機械から出た、圧縮された数字と英字を。
線路を通して、通信するだけ。
僕は、機械が言うことに任せて、雪と灰の世界を歩き回る。
寒くて寒くて仕方がない。
オトナは。お前の四肢は、心臓に近いから。お前は、寒さに強い。
なんて言っていたけれど。寒いものは寒い。
調査を終えて、僕は真っ黒な路面電車の扉を。
急いで開けて、急いで閉めて。
素早く。電車の中に入る。
熱が逃げちゃうから。
手足の指が、かじかむのをやめたら。
車両後部から、線路を介して、通信。
線路は、熱ファイバーという、情報を熱に変換するチューブらしい。
その熱で、この電車も動いている。
雪に埋もれない線路。
オトナは。電気はダメなんだ。灰は水と反応すると、導電性を持つ。電気が吸われちまう。だから、これは、本当は、電車じゃないのさ。そうだな。温泉路車。かな。
オトナたちは。たまに冗談を言う。
ちっとも面白くないけれど。みんな冷たく、笑っているけれど。
僕は電車を動かす。
電車の前の方には、大きなほうきがついている。雪とか灰とかゴミとか、そういうものを掃いていく。
レレレのおじさんみたい。とオトナは言っていた。なんのことだろう。
電車が、ゆっくりゆっくり進む。
電車の後ろに線路が引かれる。
灰からシリコン、雪から水。
その他いろいろ混ぜて、電車で作った線路を引いていく。
いいか、敷くなんて、言うなよ。四苦で縁起が悪いからな。とオトナは言っていた。
調査の仕事。線路の仕事。
電車は、ガタゴト。ガタゴト。
仕事とガタゴト。
ああ、これが、冗談ってやつだ。
僕はちょっぴり、オトナになった気分。
だけど。ああ。寒い。寒い。
心が寒い。
オトナが。冗談を言う理由が分かった。
ずっと一人で。ずっと孤独で。
だからだ。
地下から出て、地上には、誰もいない。
僕の前には、何もない。
僕の後ろに出来る道を、誰かが通るのだろうか。
道程だな。とオトナが言っていたのを思い出した。
僕には、まだ。
分からない冗談がたくさんある。
知らないことがたくさんある。
これが未知ってやつだ。
僕は仕事を続けた。
調査を続けた。
線路を続けた。
野を越え、山を越え、やっほー。
誰も返さない。四方八方。
寂しい。
調査を続けていると。
だんだんと白が減って。
灰色になっているのが僕でも分かる。
雪が少なくなっている。
そして、僕の。咳が多くなった。
咳をしてもしなくても一人。
息を吸うたび吐くたび。
肺が痛い。
きっと、灰が悪いんだ。
目も。かすむようになった。
ずーっと。低い音が。耳鳴りがする。
僕の仕事は、一つ。
調査をすること。
僕の仕事は、一つ。
線路を引くこと。
僕の仕事は、一つ。
なるべく生きること。
なるべく。生きる。こと。
生きる。と僕は、言い切る。
息が切れて、咳が出る。
ゴッホゴッホは、縁起が悪いから。
ゲッホゲッホと、咳をする。
日進月歩。
この一歩は、一人の人間にとっては小さな一
世界がぐらついた。
耳鳴りが、低い音が。
強く強く強く強く。強く。
日が沈んでるのかと思った。
沈んでいるのは、僕だった。
僕と、電車と、線路と、世界。
意識に上ったのは、意気消沈。
オトナたちは、言っていた。
火山活動で世界は灰と雪の世界になった。
同じ活動で、ユーラシア大陸とアメリカ大陸が沈んだ。
大陸が沈めば、大陸に積もった灰と雪が、反射する太陽光エネルギーの分。
地球が温まる。
また植物による二酸化炭素の減少もなくなる。
火山活動で温室効果ガスが出る。
エトセトラで。
雪が溶ける。水じゃない。
春だ。春が来る。
僕には、難しくて。
よく分からなかったけれど。
多分。この世界も。沈んでしまうのだ。
その代わり、どこか、どこかに。
春が来る。
ぐちゃぐちゃに歪んだ。
視界と世界。
僕が引いた線路は、捻れて縒れて。
ああ、線路を全部繋げて。
春回路。と名づけるつもりだったのに。
ゴッホと。血の混じった。咳をする。
足。脚。僕の電車が。僕を潰している。
手についた血は、どんどんと黒くなっていく。
毒林檎は、多分。こんな色だ。
僕は、誰からもキスをされない白雪姫。
かぼちゃの馬車に潰されるシンデレラ。
体が熱い。だけじゃない。
地面が。熱い。
痛い。痛い。熱い。痛い。
けれど。
僕の体に降る雪が。
僕の血に降る雪が。
この地に降る雪が。
溶ける。
きっと。きっと。春が来る。
冬来りなば春トウガラシ。
痛みも熱さも、もうない。
ただ、温かさが残った。
地下の爆発か。それとも、地上での爆発か。
震度計は、地下からを指している。
冷戦が終わったから、暖かくなるな。
雪と灰も減っているらしい。
白雪姫が毒林檎を食べ、シンデレラの魔法が解けた。
地上に戻れるかもしれない。
調査が必要だ。
トロッコ問題。
被害は最小限に。
オトナたちの言うことは、僕には難しくて。
よく分からなかった。
僕の仕事は、一つ。
調査をすること。
僕の仕事は、一つ。
線路を引くこと。
僕の仕事は、一つ。
なるべく生きること。
調査といっても、僕は、ただ機械に任せて。
僕は、機械から出た、圧縮された数字と英字を。
線路を通して、通信するだけ。
僕は、機械が言うことに任せて、雪と灰の世界を歩き回る。
寒くて寒くて仕方がない。
オトナは。お前の四肢は、心臓に近いから。お前は、寒さに強い。
なんて言っていたけれど。寒いものは寒い。
調査を終えて、僕は真っ黒な路面電車の扉を。
急いで開けて、急いで閉めて。
素早く。電車の中に入る。
熱が逃げちゃうから。
手足の指が、かじかむのをやめたら。
車両後部から、線路を介して、通信。
線路は、熱ファイバーという、情報を熱に変換するチューブらしい。
その熱で、この電車も動いている。
雪に埋もれない線路。
オトナは。電気はダメなんだ。灰は水と反応すると、導電性を持つ。電気が吸われちまう。だから、これは、本当は、電車じゃないのさ。そうだな。温泉路車。かな。
オトナたちは。たまに冗談を言う。
ちっとも面白くないけれど。みんな冷たく、笑っているけれど。
僕は電車を動かす。
電車の前の方には、大きなほうきがついている。雪とか灰とかゴミとか、そういうものを掃いていく。
レレレのおじさんみたい。とオトナは言っていた。なんのことだろう。
電車が、ゆっくりゆっくり進む。
電車の後ろに線路が引かれる。
灰からシリコン、雪から水。
その他いろいろ混ぜて、電車で作った線路を引いていく。
いいか、敷くなんて、言うなよ。四苦で縁起が悪いからな。とオトナは言っていた。
調査の仕事。線路の仕事。
電車は、ガタゴト。ガタゴト。
仕事とガタゴト。
ああ、これが、冗談ってやつだ。
僕はちょっぴり、オトナになった気分。
だけど。ああ。寒い。寒い。
心が寒い。
オトナが。冗談を言う理由が分かった。
ずっと一人で。ずっと孤独で。
だからだ。
地下から出て、地上には、誰もいない。
僕の前には、何もない。
僕の後ろに出来る道を、誰かが通るのだろうか。
道程だな。とオトナが言っていたのを思い出した。
僕には、まだ。
分からない冗談がたくさんある。
知らないことがたくさんある。
これが未知ってやつだ。
僕は仕事を続けた。
調査を続けた。
線路を続けた。
野を越え、山を越え、やっほー。
誰も返さない。四方八方。
寂しい。
調査を続けていると。
だんだんと白が減って。
灰色になっているのが僕でも分かる。
雪が少なくなっている。
そして、僕の。咳が多くなった。
咳をしてもしなくても一人。
息を吸うたび吐くたび。
肺が痛い。
きっと、灰が悪いんだ。
目も。かすむようになった。
ずーっと。低い音が。耳鳴りがする。
僕の仕事は、一つ。
調査をすること。
僕の仕事は、一つ。
線路を引くこと。
僕の仕事は、一つ。
なるべく生きること。
なるべく。生きる。こと。
生きる。と僕は、言い切る。
息が切れて、咳が出る。
ゴッホゴッホは、縁起が悪いから。
ゲッホゲッホと、咳をする。
日進月歩。
この一歩は、一人の人間にとっては小さな一
世界がぐらついた。
耳鳴りが、低い音が。
強く強く強く強く。強く。
日が沈んでるのかと思った。
沈んでいるのは、僕だった。
僕と、電車と、線路と、世界。
意識に上ったのは、意気消沈。
オトナたちは、言っていた。
火山活動で世界は灰と雪の世界になった。
同じ活動で、ユーラシア大陸とアメリカ大陸が沈んだ。
大陸が沈めば、大陸に積もった灰と雪が、反射する太陽光エネルギーの分。
地球が温まる。
また植物による二酸化炭素の減少もなくなる。
火山活動で温室効果ガスが出る。
エトセトラで。
雪が溶ける。水じゃない。
春だ。春が来る。
僕には、難しくて。
よく分からなかったけれど。
多分。この世界も。沈んでしまうのだ。
その代わり、どこか、どこかに。
春が来る。
ぐちゃぐちゃに歪んだ。
視界と世界。
僕が引いた線路は、捻れて縒れて。
ああ、線路を全部繋げて。
春回路。と名づけるつもりだったのに。
ゴッホと。血の混じった。咳をする。
足。脚。僕の電車が。僕を潰している。
手についた血は、どんどんと黒くなっていく。
毒林檎は、多分。こんな色だ。
僕は、誰からもキスをされない白雪姫。
かぼちゃの馬車に潰されるシンデレラ。
体が熱い。だけじゃない。
地面が。熱い。
痛い。痛い。熱い。痛い。
けれど。
僕の体に降る雪が。
僕の血に降る雪が。
この地に降る雪が。
溶ける。
きっと。きっと。春が来る。
冬来りなば春トウガラシ。
痛みも熱さも、もうない。
ただ、温かさが残った。


