あの光の先

陽の光に照らされ、朝を迎えると彼がいなかった。
元々、シーンとしている土地ではあったが、彼がいないことでもっと静まり返っていた。

『アニー、どこ。。。?』

返事はなかった。
どうしたのだろう。
用事…なのかな?
まだ疲れが完全に取れたわけではないので、
ヨロヨロとした足並みで寝室を後にする。

リビングも静まり返っており、朝だというのになんとなく暗く感じた。
テーブルにふと、何かが置かれていることに気づく。
キッチンパラソルとでも言うのだろうか、食べ物に埃が入らないよう守るものがかけられ、
朝ごはんが置かれていた。
そしてその脇には手紙も添えられていた。

「エッタへ」
「僕は少しお仕事にいってくる」
「君が起きて何もなかったら悲しむと思って朝ごはんを作っておいたよ」
「もし、好き嫌いがなければ、食べてもらえるとうれしいな」
「上手くいけば、夜までには戻れると思う」
「それまで決して家から出ないこと!」
「君は亡国の王女様なんだからね」
「万が一見つかると大変だ」
「誰かが訪ねてきても絶対出ちゃダメだよ?」
「もしお腹がすいたら、キッチンにあるものを適当に食べてくれていいからね」
「君はまだ疲れているだろうからゆっくり休んでね」
「アニーより」

『そう。。。』
『彼はお仕事に。。。』

そしてハッとなる。
彼のお仕事とは兵士、つまりは戦場にいったのではないか、と。

私はほろりと涙した。
そして願った。
彼が無事、家に帰ってきてくれることを。。。

『あぁ。。。神様、彼を、アニーを無事にお返しください』

彼の無事を願うことしかできない自分がとても非力で無能で嫌になる。
とても遠くの方で轟音が鳴り響く。

『彼は。。。あそこにいるのかしら』

彼の用意してくれた朝ごはんを口にするが、
彼のことを考えると何の味もしなかった。

『どうかご無事で。。。』

私の願いが彼に届くことはあるだろうか。
届かないとしても。。。願わずにはいられなかった。