ひとしきり泣いたあと、急に恥ずかしくなって俯いたまま食事を済ませると彼が言った。
「あなたは…もしかしてウェザード王国の…人間?」
『えぇ…あなたに隠し事はしないわ』
『私は、ヘンリエッタ・ジュスターヴ・アレサンドラ、ウェザード王国の王女なの』
「わぁ…どうりで高貴なオーラがあったわけだ」
「無礼を働き、申し訳ございません王女様」
そう彼は言った。
『そ、そんな かしこまらないで?』
『私はもう…王女でもなんでもないわ』
『王国はその…帝国に滅ぼされてしまったし…』
「ご、ごめん…」
『あ、あなたが謝ることはないわ?』
『悪いのは帝国の上層部!あなたはただ従軍しただけよ』
私はわかっている。
彼には何の非もないことを。
戦争というのは上層部同士の問題だ。
従わされている兵士たちは何も悪くない。
(もちろん悪い人たちもいくらかはいるだろうが…)
王女としてそこはわきまえているし、そこを恨んだって仕方ないことを私は理解している。
「ぼくは帝国の軍人302105番だ」
『え……?』
彼も自己紹介をしてきたのだと思考が追いつくまで少々時間がかかった。
どうやら帝国は一兵士には名前さえ与えないようで、彼にもただの「番号」しか与えられていないようだった。
その話を聞いてとても…胸が痛んだ。
さっき、私の名前を素敵だと言ってくれた彼には名前がないのだから…
私の国が特殊なのか、この帝国が普通なのか、もはやわからなかった。
『それなら…私が名前をつけてもいいかしら?』
「王女様に名前をいただけるなんて光栄だな」
『もう…そんなかしこまらないで!もう私は王女じゃないんだからっ』
そう言うと彼に「アニー」という名前をつけてあげた。
なんとなくふと頭に思い浮かんだのがその名前だったのだが、
彼はとても喜んでくれた。
『喜んでくれてよかった』
『私を救ってくれたお礼…でどうかしら?』
「うん。じゃあそれで!」
「そうだ。エッタ?あ、エッタって呼んでもいいかな?」
『大丈夫よ。な、なぁに?』
「湯あみしてきなさい?さっぱりすると思うしっ」
「覗かないから安心して?」
彼は優しいうえに紳士だった。
もちろん彼が覗くだなんて疑う余地もない。
だけど、前もってそう言ってくれるだけでどれだけ心が救われることか。
『あぁ…ありがとう。とても…嬉しいわ』
私は精一杯の感謝の言葉を投げかけ、リビングを後にする。
彼はなんでこんなに優しいんだろう?
私はこんなにも助けてもらって……
どんな恩返しができるだろう?
身体を洗う間、ずっとそんなことばかり考えていた。
「あ、エッタ?今日はベッドで寝てね?」
お風呂上りでタオルを巻いた私に開口一番でそんなことを言ってきた。
『えっ、そ、そんな、悪いわ?』
「レディを大事にしなきゃ男の名折れだよ」
「あ、それと、服もあんな煌びやかな服じゃ素性がすぐばれちゃうから駄目だよ?」
「これ、着てね?」
そう言って女性服を渡された。
『この服は…』
誰のって聞こうとしたが飲み込んだ。
きっと彼には彼の事情があるのだ、と。
その後、彼のご厚意でベッドに潜り込むと、
自分でも信じられないほど疲れていたようで、気づいたら朝を迎えていた。
「あなたは…もしかしてウェザード王国の…人間?」
『えぇ…あなたに隠し事はしないわ』
『私は、ヘンリエッタ・ジュスターヴ・アレサンドラ、ウェザード王国の王女なの』
「わぁ…どうりで高貴なオーラがあったわけだ」
「無礼を働き、申し訳ございません王女様」
そう彼は言った。
『そ、そんな かしこまらないで?』
『私はもう…王女でもなんでもないわ』
『王国はその…帝国に滅ぼされてしまったし…』
「ご、ごめん…」
『あ、あなたが謝ることはないわ?』
『悪いのは帝国の上層部!あなたはただ従軍しただけよ』
私はわかっている。
彼には何の非もないことを。
戦争というのは上層部同士の問題だ。
従わされている兵士たちは何も悪くない。
(もちろん悪い人たちもいくらかはいるだろうが…)
王女としてそこはわきまえているし、そこを恨んだって仕方ないことを私は理解している。
「ぼくは帝国の軍人302105番だ」
『え……?』
彼も自己紹介をしてきたのだと思考が追いつくまで少々時間がかかった。
どうやら帝国は一兵士には名前さえ与えないようで、彼にもただの「番号」しか与えられていないようだった。
その話を聞いてとても…胸が痛んだ。
さっき、私の名前を素敵だと言ってくれた彼には名前がないのだから…
私の国が特殊なのか、この帝国が普通なのか、もはやわからなかった。
『それなら…私が名前をつけてもいいかしら?』
「王女様に名前をいただけるなんて光栄だな」
『もう…そんなかしこまらないで!もう私は王女じゃないんだからっ』
そう言うと彼に「アニー」という名前をつけてあげた。
なんとなくふと頭に思い浮かんだのがその名前だったのだが、
彼はとても喜んでくれた。
『喜んでくれてよかった』
『私を救ってくれたお礼…でどうかしら?』
「うん。じゃあそれで!」
「そうだ。エッタ?あ、エッタって呼んでもいいかな?」
『大丈夫よ。な、なぁに?』
「湯あみしてきなさい?さっぱりすると思うしっ」
「覗かないから安心して?」
彼は優しいうえに紳士だった。
もちろん彼が覗くだなんて疑う余地もない。
だけど、前もってそう言ってくれるだけでどれだけ心が救われることか。
『あぁ…ありがとう。とても…嬉しいわ』
私は精一杯の感謝の言葉を投げかけ、リビングを後にする。
彼はなんでこんなに優しいんだろう?
私はこんなにも助けてもらって……
どんな恩返しができるだろう?
身体を洗う間、ずっとそんなことばかり考えていた。
「あ、エッタ?今日はベッドで寝てね?」
お風呂上りでタオルを巻いた私に開口一番でそんなことを言ってきた。
『えっ、そ、そんな、悪いわ?』
「レディを大事にしなきゃ男の名折れだよ」
「あ、それと、服もあんな煌びやかな服じゃ素性がすぐばれちゃうから駄目だよ?」
「これ、着てね?」
そう言って女性服を渡された。
『この服は…』
誰のって聞こうとしたが飲み込んだ。
きっと彼には彼の事情があるのだ、と。
その後、彼のご厚意でベッドに潜り込むと、
自分でも信じられないほど疲れていたようで、気づいたら朝を迎えていた。

