∞8《インフィニティ・エイト》

 商店街の掃除をしていたおばちゃんたちが、私の姿を見つけて手を振る。

「あれ、夏美ちゃんでねーか! じき引っ越しらって?」

「おはようおばちゃん! うん、明日出発なんだ」

「寂しくなるわぁ。ソラくんもリクくんも寂しくて泣くんでねぇか?」

「泣くかな?」

「こんなことで泣くわけないだろ。俺も兄貴ももう高三なんだぞ。引っ越すっつっても国内だしさー」

 私はすかさずリクのスネにローキックをおみまいした。

 店の奥にいたおじさんたちも出てきた。

「夏美ちゃん、福岡行ぐって? 気いつけていけよ?」

「うん。ありがとう。気をつけるね」

「間違えて内履き(ズック)はいたまんまで帰ってきとったんが懐かしいなぁ」

「もー。おじさんてば。それは私が小一のときでしょー。さすがにもう間違えないよ」

 どろんこになって笑われたなぁ。
 
 近所の人たちと話していると、リクがコンビニを指す。

「夏美、兄貴。喉乾いたしコンビニで飲むもんと食うもん買おうぜ」

「そうだね、お祭まで時間あるし」

「私もごはん買うー」

 三人で近くのコンビニに入った。

 自動ドアが開く瞬間、冷気が私たちを出迎える。