∞8《インフィニティ・エイト》

 家に明かりがついている。

 母さん、もう返ってきてるんだ。

 玄関のドアを開けた瞬間、母さんがリビングから顔を出した。

「おかえりなさい、夏美。って……どうしたの、泣いてるじゃない」

 言われて触ってみたら、私の頬は涙で濡れていた。

 こんなこと話せるわけ、ない。

「だ、大丈夫。……転んで、擦りむいちゃっただけ。ほんとに、大丈夫。洗って、ばんそうこ貼っとけば治るよ」

 なんとかそれだけ言って、自分の部屋へ駆け込む。

 ドアを閉めて、タオルケットを頭からかぶった。

 目を閉じるとリクとソラの真剣な顔を想い出す。

 明日が来るのが怖いよ。

 私、何を言えばいいの?

 ソラの手を取ればリクが傷つく。

 リクの手を取ればソラが傷つく。

 何を選択しても、もう、ただの幼なじみ三人で、いられない……よね。

 二人は。いつから私のこと好きだったのかな。

 昨日今日のことじゃないよね。

 あんなにも、真剣に好きだと言ってくれたのに。

 なんで今まで気付なかったのかな。

 私は、二人と同じ気持ちを持っているの?

 それを返せるの?

 わからないよ。

 ずっとぐるぐる考えて、いつの間にか眠りに落ちていた。