∞8《インフィニティ・エイト》

 屋台をひととおり巡った後、神社の境内の奥へと向かった。

 人が少なくて、夜風が涼しいな。

「なんか、終わっちまうの寂しいよな。このまま終わらなければいいのに」

 リクがぽつりとつぶやく。

 終わりが寂しいのは、私も同じ。
 
 ──ヒュルルル、ドンッ!

 夜空に、大輪の花が咲いた。

 鮮やかな光が辺りを照らし、祭の喧騒が境内を包む。

 人々の波が、花火会場へと流れていく。

 そんな中、リクが立ち止まった。

「夏美」

 呼びかける声は、いつもの軽い調子とは違っていた。

「俺、お前のことが好きだ」

「え……?」

「ずっと言いたかった。今日言わないと、もう、言う機会ないから。本当は、陸上大会でメダル取って、その時言いたかった」

 リクは真っ直ぐな瞳で私を見つめていた。

 けれど次の瞬間、リクはふっと視線をそらした。

「でも……今すぐ答えを聞くのが怖いんだ。だから……明日、答えを聞かせてくれ」

 それだけ言い残して、花火会場のほうへと駆けていった。

 何も考えられないまま、ただ花火の音だけが響く。

 そのとき。

「僕も、夏美が好きだよ」

 静かな声がした。

 振り向くと、ソラが私を見ていた。

「……ソラ……?」

「何度でも言うよ。忘れないで」

 ソラの瞳は、どこか切なげだった。

「どれだけ離れたって、僕が好きなのは夏美。夏美が一番好きだから」

 また、花火が上がった。

 夜空に広がる光の下、ソラはどこまでも真剣な目で私に言う。

 頭の中が真っ白になった。