∞8《インフィニティ・エイト》

「さ、こんなとこで時間取ってられない。次行くぞ次!」

 次に向かったのは射的の屋台。

「よーし。待ってろよ夏美。俺があのぬいぐるみを取ってやる!」

「お、いいねぇ兄さん。彼女のために当てるか!」

 リクは気合い十分で、店のおじさんに五百円払いコルク銃を手にする。

 標的は、一番下の棚にあるネコのぬいぐるみ。

 腕を伸ばして標的を睨みつける。

「リク、やめたほうがいい。リクはシューティングゲームですぐにゲームオーバーになるじゃないか」

「んだよ兄貴! やる前から諦めんな! ようは気合だ!」

 ソラがとめたけど、リクは自信満々。

 一発目はあらぬ方向に飛んでいって、隣の輪投げ店の垂れ幕に当たった。

 二発目は屋台の屋根に当たった。

「くそっ、次で決める!」

 三発目も、ぬいぐるみにはかすりもしなかった。

「……残念だったな兄さん。これ、参加賞だ」

 店のおじさんが塩味のアメをひとつくれた。

「負けられない戦いがここにある! おっちゃん、もう一回!」

 次の三発もかすりすらせず終わった。

「くそ。おっちゃん! ぬいぐるみに重石を仕込んでんだろ!」

「当たって動かないならともかく、かすりすらしてないのにそれはただのいちゃもんだよ、リク……」

「兄貴は黙っててくれ」

「ありがとう、リク。取ろうとしてくれた気持ちだけでも十分だよ」