∞8《インフィニティ・エイト》

 教室を出て三人で廊下を歩いていると、女の子が駆け寄ってきた。

 鎖骨まで届く艷やかなストレートヘア。

 ほのかに甘い制汗スプレーの香り。

 透明なジェルネイルで爪の先まで丁寧にケアされている。

「ソラ先輩、どうして学校に? 今日は部活ないですよね」

「夏美は明日で転校するから、最後に、ちょっと見て回ろうと思って」

「そうなんですね。休みの日でもソラ先輩に会えるなんて嬉しいです」

 女の子は私に目をやって口のはしをあげる。

 それからリクに向き合ってお辞儀をする。

「はじめまして弟さん! あたし、篠原芽衣(しのはらめい)って言います。天文部で、いつもソラ先輩にはお世話になっています」

「へー。どーも」

 リクはすごくどうでもよさそうに生返事する。

「私は夏美。よろしくね。ソラはめんどうみがいいもんね。天文部で慕われてるんだねー」

 芽衣さんは両手を合わせ、声を弾ませながらソラに笑いかける。