∞8《インフィニティ・エイト》

 教室に入ると、リクが窓際の自分の席にドサッと座る。

「……こうやって夏美と来るのも、最後なんだな。なーんか、変な感じ。夏休みがあけたあとも、夏美がそこに座ってそうな気がする」

 私も休みに入る前の自分の席に座って、教室を見渡した。

 机には、前にこの机を使っていた人が書いた落書きが残っている。

 誰かが彫刻刀で彫り込んだ相合傘もあって、面白い。

 黒板には、数式の痕がうっすら残っている。

 私の後ろの席がソラ。

 席は二ヶ月ごとにくじ引きで変わるから、三人バラバラな位置なこともある。

「こんなに静かな教室って、不思議だよな」

「今日は先生がいないからいくらでも居眠りできるよ。良かったねリク」

「うっせえ!」

「そういうこと言うなら、今後先生にかけられても助けないよ」

「それは困る!」

 リクは物理と英語と数学と現代文の授業でよく寝ているから、先生たちから三年寝太郎という不名誉なあだ名をもらっている。

 そして毎回先生たちに叩き起こされている。

 嫌いな授業には身が入らないタイプなんだよね……。

 ソラはどの授業も真面目に聞いているから、先生たちが星野兄弟を見分ける方法は『起きているほうがソラ』になっている。