∞8《インフィニティ・エイト》

 寄り道しながら高校の校門をくぐった。

 今は夏休みだから、校内にはほとんど生徒がいない。

 何人かいるのは運動部、吹奏楽部の生徒だ。

 校庭の方からは威勢のいい掛け声と、バッティング練習の音が聞こえてくる。

「リクも少し前まであっち側だったのに、不思議な感じだね」

 ソラが校庭の方を見ながら言う。

「思い出させんな兄貴! あーあ。あと一秒早ければメダルだったのにチクショー!」

「落ち込むことないよ、リク。リクの最新記録出せたじゃん」

 そう、リクはこれまでの中で一番早かった。
 見に行っていた私もびっくりする早さ。

「俺の中で最速でも、メダルを取れなきゃ意味ないんだよ」

 数日前に三年生最後の大会があった。

 リクは百メートルの選手として走り、四位になった。

 四位でもじゅうぶんすごいけど、リクは最後ずっと泣いていた。