出張。私はそれをご馳走旅と読む。

 そして、あっという間に出張当日がやってきた。
 朝一番の新幹線に乗り込んだ私は、座席でほっと一息つく。
 待ちに待った一泊二日の名古屋への小旅行。
 もちろん仕事がメインなのだけれど……。
 それでも、やはりウキウキする気持ちは抑えきれない。
 それは、佐伯から送られてきたメールのせいでもあった。
 どうやら私のことを“大食い”だと思い込んだ彼は、あの後、律儀にもたくさんの名古屋メシ情報を送ってきてくれた。
 その殆どは、やはり有名なラインナップだったが、その中で私の目を引いたものが2つあった。
 一つは、台湾ラーメン。
 名古屋にはとても有名な店があるらしい。ただ、激辛注意と書いてあったので、少々尻込みしている。
 名古屋駅の構内に店舗があるようなので、立地的には行きやすそうなのだが。立ち寄るかどうかは、まだ決めかねている。
 そして、もう1つ。
 私が朝一の新幹線に乗り込んだ理由であり、それは、最も欲しかった情報でもあった。
『母親の行きつけらしいっす』というメッセージと一緒に佐伯から送られてきた画像には、トーストやサラダの他に、フルーツやゆで卵やスープ。そして、なぜか茶碗蒸しの写真。
 初めは、どうして喫茶店の情報なんてと不思議に思った。
 だが、改めて調べてみると、一宮市は喫茶店モーニング発祥の街として有名らしいことがわかった。
 一宮市内の多くの喫茶店がモーニングサービスに力を入れているようで、それは、ある意味名物と言えそうであった。
 ドリンク代だけで、トーストとサラダが付く店。
 ドリンク代プラス低価格で食べ放題になる店。
 それから、佐伯が教えてくれた店のように、定番のモーニングセットに変わり種が付いてくる店。
 モーニングメニューとして、卵かけご飯と味噌汁の提供をしている和風朝食の店もあった。
 ウェブサイトやSNSによると、価格や提供の内容は店によって様々。一宮モーニングのスタンダードはよく分からなかった。
 でも、街を上げてモーニング文化を盛り上げようとしていることは分かった。各店舗を回るモーニングスタンプラリーなんてものも行われているらしい。たぶん、町おこしの一環なのだろう。
 街が力を入れて推しているのであれば、これはもう堪能すべきだ。
 そう確信した私は、予約していた新幹線の時間を変更して、始発の列車に乗り込んだ。
 東京から名古屋まではおよそ1時間半。
 朝早かったこともあり座席で微睡んでいると、名古屋までの道のりはあっという間だった。