負けヒーローの俺でも勝ちヒーローになれますか

「まーひろ」
「まーきの、みたいに呼ぶのやめろよ」
席が近い優一は自習の時間のたびに、何かと俺に話しかけてくる。暇なんだろうか。といっても、優一の存在にどこか救われている自分がいる。
あの日、写真を見られてから俺に話しかけてくるクラスメイトはほとんどいなくなった。俺のことが嫌いとかってより、単純に気まずいんだろうな。学生なんてそんなものだろう。
外見の大切さは俺が一番よく知っている。みんな上辺だけだったってことだ。
思ったよりも冷静な自分に驚いている。自分自身、もう少し動揺とかあるものだと思っていた。
きっと、長谷川先輩や姫宮先輩。優一の存在が大きいんだ。一人だったら、こんなに冷静になれなかった。そういう意味でも、優一には感謝している。写真が流出してからも、こうして俺に話しかけてくれるんだから。
「………なに?」
「用がないと話しかけたらダメなの? 俺は真尋と話したいんだ、色々とね」
「話したいことって?」
「気づいてる? あの男。真尋のこと、ずっと見てる」
優一のいうあの男とは、九頭終人のことだろう。
曖昧な関係を続け、恋人にるわけでもなく終わった。ぶっちゃけ、あの男のことは忘れていた。興味ないというか、そんなこと考えるひまなかったし。今の俺にとって、優一から写真を取り返す方が大事だから。終わったやつのことをうじうじと思い出すほど俺は女々しくない。
「そうか? 気のせいとかじゃなくて?」
「逆になんで気づかないんだ」
「………なんで見られてるんだよ。俺、何かしたか?」
「さぁ、どうだろう。………気をつけてね、真尋」
「え、なにが?」
「そういうところ、ほんと心配だよ」
優一が心配することなんてないのに。あの男が今更俺になにか言いたいことでもあるわけじゃないだろうし。
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