優一が扉を開けると、一般的な教室の半分くらいしかない空間が広がっていた。それでも二人なら問題なく過ごせるだろう。
優一がカチッと電気をつけた。
俺と優一は、近くにある二つの椅子に隣合って座る。
こんな近くで優一の顔を見ることなんてなかった。何年ぶりだろう。幼なじみなのに、顔を見るのが久しぶりだなんてなんだかおかしな話だ。
優一は黒髪センターわけという、一軍男子の髪型に銀縁めがねをかけている。中学のときも、一軍男子はみんな似たような髪型だった。大体、黒髪センター分けか黒髪マッシュしかいない。
だけど、ひとつ違うことがあるとすれば前髪をワックスで固めていないこと。俺はワックス独特の匂いが苦手だ。鼻にツーンとくるやつ。めっちゃ強いわけじゃないけど、近くにいると気になる。つけすぎて、風呂に入ってないみたいにテカテカしてる人もいるし。それでいうと優一の前髪はサラサラだ。優一が動くたびに、こう……なんか、前髪が目にちょっとかかる感じが眼鏡と合わさって、できる男感はんぱない。そういうところが女の子にモテるんだと思う。俺がじっと見てると、優一は眼鏡越しに目を細めて髪をかきあげた。
(そういうところ!! そういうことするから女の子がよってくるんだよ!)
そうだ、中学のころは共学だった。今でこそ男子校だけど、女の子に囲まれている優一を何度見たことか。
そういえば、優一ってモテるくせに彼女いるの見たことないんだよな。優一なら選び放題なのに。
「真尋って、部活入ってないでしょ」
優一の顔をぼーと眺めながらそんなことを考えていると、突然部活の話を持ち出してきた。さっきの言うこと聞くってのはどこいったんだ?
たしかに俺は部活に入っていない。一年の頃は帰宅部だったから、今年はなんでもいいから部活に入れと先生に言われてるんだよな。部活に入ったら、趣味のぬい活をする時間が減ってしまうからあまり乗り気じゃない。だけど、部活に入らずに先生に何か言われるのもな……
「入ってよ、負けヒーロー部」
……え? 今、なんて言った? 負けヒーロー部?
聞いたことないし、なにその部活
「さっきの、俺の言うこと聞くって話。負けヒーロー部に入って、俺と思い出作ろう。そうしたら写真返してあげる」
「思い出ってなに?」
「学生らしいこと、しよ?」
「え、それだけでいいの?」
いや、負けヒーロー部? とかいうよくわからない部活に入るかは決めてないけど、高校生らしい思い出ならすぐ達成できるんじゃないか。
「いいよ。ただし、俺をドキッとさせたらね」
「ええと、つまり……?」
「俺を惚れさせて」
「無理なんだけど!? てか写真、返して!」
「やーだ」
◇◇◇
かれこれ優一と格闘してから十五分くらい経った頃だろうか。俺は結局、優一から写真を取り返すことができなかった。制服の内ポケットにあることは知っているから、なんとか隙をつけないかと思ったが、中々ガードが硬い。
窓の外から見えるグラウンドから部活特有のちょっとださい掛け声が聞こえてくる。そろそろ部活動を始めるべき時間帯なんじゃないか。それなのに、部室には俺と優一以外誰もいない。まさか、部員が優一だけなわけないよな。俺は、優一に他の部員がいないか聞いてみた。すると、一個上の三年の先輩が二人いることが判明した。それでも部員数は、優一含めて三人。廃部になっていないことが不思議なくらいだ。
優一が言うには、去年はまだ何人か先輩がいたらしいが、今年卒業してしまって今の人数に至るとのこと。ボランティア部のような文化部は、バスケやサッカーなどの運動部よりは比較的人が少なくても活動されることを許可されている。その最低人数が四人。要は俺が入らないと廃部になるらしい。
(いや、責任重大すぎなんだけど!?)
「真尋が入らないと廃部になるんだ、そんなの悲しいだろ?」
「いや、知らないし……とにかく、俺は入らな――」
俺の声を遮るように、部室の扉がガラガラガラッッと大きな音を立てて開いた。
「だーかーらー! 男は筋肉が正義なの! 華奢で可愛い男の子が、実は腹筋バキバキなのがギャップ萌えになるんだよ!?」
「なんでもギャップ萌えにすればいいわけじゃない。王道こそ至高。可愛い男の子は、華奢で守りたくなる儚さがあるのがいいんだよ。可愛い男の子に腹筋があるなんて論外」
えーーーーーと、ちょっと追いつけないんだけど。この人たち、誰だろう……部室に入ってきたってことは、負けヒーロ部の部員? 優一がさっき言ってた、先輩たちなのだろうか。
やいやい言い合ってる二人の先輩? たちは、とても仲がいいようには見えない。それに、話してる内容も一般的な男子高校生がする話じゃないし。もしかしたら先輩たちは………………俺と同じオタク?
「先輩方、落ち着いて。今日は俺の友達連れてきたから」
優一が慣れた様子でにこやかに割って入る。ぽかんと傍観しているのは俺だけだ。
「友達? あ! 可愛い子!!」
背の低い方の先輩が、にやにやしながら優一を見る。髪に黒のヘアピンをつけていて、首元はネクタイ――ではなく、リボンだった。男でもリボンをつけられるようにするべきだと学校側が配慮した結果、男子校でもネクタイとリボンを選べるようになった。まぁ、この学校でリボンをつけてる男子生徒は見かけたことがない。姫宮先輩が初めてだ。
もう一人の背が高い方の先輩は、男にしては襟足が長い髪をしていた。といっても、俺よりは短くて肩よりも上らへん。ウルフっぽい。色白――というより、全体的に色素が薄くてどこかミステリアスさを感じる。
「…………へぇ、この子か。俺は長谷川駿。三年。こっちは、姫宮由紀。同じ三年生ね。よろしくね」
にこりと微笑んで、手を差し出した先輩の手を恐る恐る両手で握る。
「よ、よろしくお願いします、長谷川先輩!」
「あ、駿ばっかずるい〜! 僕も! 君、綿貫真尋でしょ? 優一から聞いてるよ! 気軽に、"ひめっち"って呼んでいいよ。優一もそう呼んでるから」
「俺の真尋と仲良くしてあげてね、ひめっち先輩」
「もちろん!」
「え、ええと、よろしくお願いします、姫宮先輩」
「もう! 硬いよ、後輩くん!」
「そこまでにしておきな、真尋が困ってる。由紀がごめんね。何かあったら、お兄さんを頼ってくれていいからね」
上手く対応できなくて、あたふたしている俺をサラッと助けてくれた長谷川先輩。こういう人が女の子からモテるんだろうな……
「出た出た。学年が一つしか変わらないのに、年上面する先輩。どこにでもいるよね」
「由紀、文句があるなら直接言ってくれるかな?」
「別に〜?」
「まぁまぁ、先輩方。せっかく、真尋が入部してくれるんだから、歓迎会でもどう?」
「たしかに〜じゃあ、ファミレスでも行こっか!」
「たしか駅前にファミレスがあるから、そこにしようか」
入部するとは言ってないんだけどな………なんて、考えている間にも、姫宮先輩と長谷川先輩は着々と歓迎会の話を進めていた。いつの間にか、隣にいた優一が俺の背中をポンッと軽く叩いた。「少しだけならいいでしょ?」なんて言ってくるけど、少しで終わるわけがないことくらいわかる。俺が入らなければ廃部なんだもんな………でも、負けヒーロー部なんてよくわからない部活に入っていいのだろうか。想像がつかなさすぎる。
俺が入部を渋っている一番の要因はこれだ。どこかしら部活には入らなければいけない。今年も部活に入らなければ、来年に負担がかかる。三年間帰宅部でいるわけにもいかない、進路に響く。そうなれば来年は受験、部活、趣味。二刀流どころか三刀流。
器用にこなせる人もいるだろうが、俺には無理だ。今年適当なところに入って、来年適当なところで辞める。なるべく趣味のぬい活に影響が出ない部活を選ばないと………
俺が思考を巡らせていると、また部室の扉が開いた。今度はだれ………
「先生!?」
そこに立っていたのは、担任の先生だった。驚いてる俺に、先生は入部届けを突き出す。「高野が、どうしても綿貫に入ってほしいと言っていてな。俺としても去年、部活に入っていない人にはどこかしら入部してもらわないと困る」なんて軽々しく言った。真面目なお前にボランティア部はぴったりだ、と。
(たしかに学校で問題行動はしてないけど、それとこれとは話が別!! ていうか、優一のやついつのまに………!)
隣にいる優一を見ると、何も言わずにただ微笑んでいるだけでそれがまたムカついた。
「あの、俺まだ入るとは決めてなくて」
「入りたい部活があるのか?」
「そういうわけじゃ………」
「なら、ボランティア部でも構わないよな? ボランティア部はいいぞ〜人の役に立つってのは――」
「………どうしてそんなにボランティア部をすすめてくるんですか」
ボランティア部なんて廃部になってもたいして困らなさそうなのに。疑問に思った俺に、先生はあっけらかんと答えた。
"廃部になったら、お前含めて四人分の入部届けを再度受理しないといけないだろ"と。
………つまり、仕事が増えるから面倒臭いと言いたいのか。先生は、入部届けを突き出したまま仁王立ちで立っていた。俺が入部届けに名前を書くまで、ここを離れるつもりがないらしい。こうして睨みあっていても埒が明かないと判断した俺は、入部届けを受け取り、渋々ボールペンで自分の名前を書いた。俺が名前を書き終えると、先生は満面の笑みでそれを受け取った。それから、「あ、そうだ。帰る前に、校庭のゴミを全部拾っておいてくれ。ボランティア部の仕事だ」と、雑用を押し付けて部室を出て行った。
優一がカチッと電気をつけた。
俺と優一は、近くにある二つの椅子に隣合って座る。
こんな近くで優一の顔を見ることなんてなかった。何年ぶりだろう。幼なじみなのに、顔を見るのが久しぶりだなんてなんだかおかしな話だ。
優一は黒髪センターわけという、一軍男子の髪型に銀縁めがねをかけている。中学のときも、一軍男子はみんな似たような髪型だった。大体、黒髪センター分けか黒髪マッシュしかいない。
だけど、ひとつ違うことがあるとすれば前髪をワックスで固めていないこと。俺はワックス独特の匂いが苦手だ。鼻にツーンとくるやつ。めっちゃ強いわけじゃないけど、近くにいると気になる。つけすぎて、風呂に入ってないみたいにテカテカしてる人もいるし。それでいうと優一の前髪はサラサラだ。優一が動くたびに、こう……なんか、前髪が目にちょっとかかる感じが眼鏡と合わさって、できる男感はんぱない。そういうところが女の子にモテるんだと思う。俺がじっと見てると、優一は眼鏡越しに目を細めて髪をかきあげた。
(そういうところ!! そういうことするから女の子がよってくるんだよ!)
そうだ、中学のころは共学だった。今でこそ男子校だけど、女の子に囲まれている優一を何度見たことか。
そういえば、優一ってモテるくせに彼女いるの見たことないんだよな。優一なら選び放題なのに。
「真尋って、部活入ってないでしょ」
優一の顔をぼーと眺めながらそんなことを考えていると、突然部活の話を持ち出してきた。さっきの言うこと聞くってのはどこいったんだ?
たしかに俺は部活に入っていない。一年の頃は帰宅部だったから、今年はなんでもいいから部活に入れと先生に言われてるんだよな。部活に入ったら、趣味のぬい活をする時間が減ってしまうからあまり乗り気じゃない。だけど、部活に入らずに先生に何か言われるのもな……
「入ってよ、負けヒーロー部」
……え? 今、なんて言った? 負けヒーロー部?
聞いたことないし、なにその部活
「さっきの、俺の言うこと聞くって話。負けヒーロー部に入って、俺と思い出作ろう。そうしたら写真返してあげる」
「思い出ってなに?」
「学生らしいこと、しよ?」
「え、それだけでいいの?」
いや、負けヒーロー部? とかいうよくわからない部活に入るかは決めてないけど、高校生らしい思い出ならすぐ達成できるんじゃないか。
「いいよ。ただし、俺をドキッとさせたらね」
「ええと、つまり……?」
「俺を惚れさせて」
「無理なんだけど!? てか写真、返して!」
「やーだ」
◇◇◇
かれこれ優一と格闘してから十五分くらい経った頃だろうか。俺は結局、優一から写真を取り返すことができなかった。制服の内ポケットにあることは知っているから、なんとか隙をつけないかと思ったが、中々ガードが硬い。
窓の外から見えるグラウンドから部活特有のちょっとださい掛け声が聞こえてくる。そろそろ部活動を始めるべき時間帯なんじゃないか。それなのに、部室には俺と優一以外誰もいない。まさか、部員が優一だけなわけないよな。俺は、優一に他の部員がいないか聞いてみた。すると、一個上の三年の先輩が二人いることが判明した。それでも部員数は、優一含めて三人。廃部になっていないことが不思議なくらいだ。
優一が言うには、去年はまだ何人か先輩がいたらしいが、今年卒業してしまって今の人数に至るとのこと。ボランティア部のような文化部は、バスケやサッカーなどの運動部よりは比較的人が少なくても活動されることを許可されている。その最低人数が四人。要は俺が入らないと廃部になるらしい。
(いや、責任重大すぎなんだけど!?)
「真尋が入らないと廃部になるんだ、そんなの悲しいだろ?」
「いや、知らないし……とにかく、俺は入らな――」
俺の声を遮るように、部室の扉がガラガラガラッッと大きな音を立てて開いた。
「だーかーらー! 男は筋肉が正義なの! 華奢で可愛い男の子が、実は腹筋バキバキなのがギャップ萌えになるんだよ!?」
「なんでもギャップ萌えにすればいいわけじゃない。王道こそ至高。可愛い男の子は、華奢で守りたくなる儚さがあるのがいいんだよ。可愛い男の子に腹筋があるなんて論外」
えーーーーーと、ちょっと追いつけないんだけど。この人たち、誰だろう……部室に入ってきたってことは、負けヒーロ部の部員? 優一がさっき言ってた、先輩たちなのだろうか。
やいやい言い合ってる二人の先輩? たちは、とても仲がいいようには見えない。それに、話してる内容も一般的な男子高校生がする話じゃないし。もしかしたら先輩たちは………………俺と同じオタク?
「先輩方、落ち着いて。今日は俺の友達連れてきたから」
優一が慣れた様子でにこやかに割って入る。ぽかんと傍観しているのは俺だけだ。
「友達? あ! 可愛い子!!」
背の低い方の先輩が、にやにやしながら優一を見る。髪に黒のヘアピンをつけていて、首元はネクタイ――ではなく、リボンだった。男でもリボンをつけられるようにするべきだと学校側が配慮した結果、男子校でもネクタイとリボンを選べるようになった。まぁ、この学校でリボンをつけてる男子生徒は見かけたことがない。姫宮先輩が初めてだ。
もう一人の背が高い方の先輩は、男にしては襟足が長い髪をしていた。といっても、俺よりは短くて肩よりも上らへん。ウルフっぽい。色白――というより、全体的に色素が薄くてどこかミステリアスさを感じる。
「…………へぇ、この子か。俺は長谷川駿。三年。こっちは、姫宮由紀。同じ三年生ね。よろしくね」
にこりと微笑んで、手を差し出した先輩の手を恐る恐る両手で握る。
「よ、よろしくお願いします、長谷川先輩!」
「あ、駿ばっかずるい〜! 僕も! 君、綿貫真尋でしょ? 優一から聞いてるよ! 気軽に、"ひめっち"って呼んでいいよ。優一もそう呼んでるから」
「俺の真尋と仲良くしてあげてね、ひめっち先輩」
「もちろん!」
「え、ええと、よろしくお願いします、姫宮先輩」
「もう! 硬いよ、後輩くん!」
「そこまでにしておきな、真尋が困ってる。由紀がごめんね。何かあったら、お兄さんを頼ってくれていいからね」
上手く対応できなくて、あたふたしている俺をサラッと助けてくれた長谷川先輩。こういう人が女の子からモテるんだろうな……
「出た出た。学年が一つしか変わらないのに、年上面する先輩。どこにでもいるよね」
「由紀、文句があるなら直接言ってくれるかな?」
「別に〜?」
「まぁまぁ、先輩方。せっかく、真尋が入部してくれるんだから、歓迎会でもどう?」
「たしかに〜じゃあ、ファミレスでも行こっか!」
「たしか駅前にファミレスがあるから、そこにしようか」
入部するとは言ってないんだけどな………なんて、考えている間にも、姫宮先輩と長谷川先輩は着々と歓迎会の話を進めていた。いつの間にか、隣にいた優一が俺の背中をポンッと軽く叩いた。「少しだけならいいでしょ?」なんて言ってくるけど、少しで終わるわけがないことくらいわかる。俺が入らなければ廃部なんだもんな………でも、負けヒーロー部なんてよくわからない部活に入っていいのだろうか。想像がつかなさすぎる。
俺が入部を渋っている一番の要因はこれだ。どこかしら部活には入らなければいけない。今年も部活に入らなければ、来年に負担がかかる。三年間帰宅部でいるわけにもいかない、進路に響く。そうなれば来年は受験、部活、趣味。二刀流どころか三刀流。
器用にこなせる人もいるだろうが、俺には無理だ。今年適当なところに入って、来年適当なところで辞める。なるべく趣味のぬい活に影響が出ない部活を選ばないと………
俺が思考を巡らせていると、また部室の扉が開いた。今度はだれ………
「先生!?」
そこに立っていたのは、担任の先生だった。驚いてる俺に、先生は入部届けを突き出す。「高野が、どうしても綿貫に入ってほしいと言っていてな。俺としても去年、部活に入っていない人にはどこかしら入部してもらわないと困る」なんて軽々しく言った。真面目なお前にボランティア部はぴったりだ、と。
(たしかに学校で問題行動はしてないけど、それとこれとは話が別!! ていうか、優一のやついつのまに………!)
隣にいる優一を見ると、何も言わずにただ微笑んでいるだけでそれがまたムカついた。
「あの、俺まだ入るとは決めてなくて」
「入りたい部活があるのか?」
「そういうわけじゃ………」
「なら、ボランティア部でも構わないよな? ボランティア部はいいぞ〜人の役に立つってのは――」
「………どうしてそんなにボランティア部をすすめてくるんですか」
ボランティア部なんて廃部になってもたいして困らなさそうなのに。疑問に思った俺に、先生はあっけらかんと答えた。
"廃部になったら、お前含めて四人分の入部届けを再度受理しないといけないだろ"と。
………つまり、仕事が増えるから面倒臭いと言いたいのか。先生は、入部届けを突き出したまま仁王立ちで立っていた。俺が入部届けに名前を書くまで、ここを離れるつもりがないらしい。こうして睨みあっていても埒が明かないと判断した俺は、入部届けを受け取り、渋々ボールペンで自分の名前を書いた。俺が名前を書き終えると、先生は満面の笑みでそれを受け取った。それから、「あ、そうだ。帰る前に、校庭のゴミを全部拾っておいてくれ。ボランティア部の仕事だ」と、雑用を押し付けて部室を出て行った。
