陰キャだった俺が垢抜けたら陽キャ幼なじみに執着されて、抱かれました

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「…………真尋、本気?」
「本気。ほら、早く行こ。ご両親が待ってる」
それから少しばかりの時間が経った。十五分か、それ以上か。詳しい時間はわからない。けど、これでも急いだつもりだ。本来なら数時間………いや、半日かかることもある。
俺はご両親の元へ戻ろうと優一の手をひく。優一の手が、少しだけ震えていたきがした。
怖いよな。ごめん、勝手なことして。でも一人じゃないよ、俺が一緒にいる。
そう想いを込めて、俺は優一の手をぎゅっと握り返した。
いつの間にか恋人繋ぎになっていたが、今はこのままでいい。
繋いだ手のあたたかさが心地よかったから。
「あらま……………」
「む。これはなんだ」
優一とご両親の前に立つと、二人は目を大きく見開いた。
説明するなら今しかない。
「コスプレです!!」
「こすぷれ」
「あら、聞いたことがあるわ」
「なに? 知っているのか」
「優一がテレビでたまに見ているじゃない」
まさか、優一のお母さんにバレていたとは。
「真尋、もういいんじゃないかな。この格好…………」
優一が今着ているのは、ふりふりで可愛らしい女児向けアニメを元にした服。
流石に一から作る時間はなかったので、既存のメイド服に色とりどりのフリルをつけただけのものだが。
まさかこんなところで、ぬい活の趣味が役立つことになるとは。昔は周りにバカにされたこともあったけど、優一のためになれる日がくるなんて思わなかったな。
「どうですか。―――可愛いでしょう?」
「ええ…………髪も女の子みたいに長くて、いつもの優一じゃないみたい」
「む、む。そうだな」
「真尋のお嫁さんになれちゃう」
「……………!? 何を言っているんだ、優一! それはまだ早い」
よし。優一の可愛さが、二人に伝わったみたいだ。
最初は、優一のお母さんもお父さんにどう話したらいいか悩んだ。なにせ、優一とは幼なじみだけどご両親とも仲がいいかといえば別にそうでもないからだ。
だから、最悪な場合も想定していた。二人が怒って、俺を追い出す未来を。だけど、そうはならなかった。
二人は、戸惑いながらも話を聞いてくれる。頭ごなしに否定したりしない。
これは少しばかり賭けにでた。成功するかは、半々ってところ。だけど、二人の今の反応を見ればわかる。この二人は親バカなのだと。きっと、仕事が忙しく家族の時間がとれないだけで、二人とも優一のことを大切に思っているはずだ。
その気持ちをもう少し表に出してほしいものだが。
「―――こんな可愛い子が、家で一人寂しがってるんですよ! どう思いますか!」
「真尋! なにを言って…………」
「寂しかったのか、優一」
「あー、えー」
「寂しかったのか」なんて、今知ったかのような反応をする二人。優一はずっとその寂しさを誰にも見せなかったことになる。周りの人どころか、家族にさえ。
だから二人ともわからなかったんだ。優一の気持ちが。
「ゆうくん…………」
「その呼び方やめてくれ」
「あら、つい。ごめんなさいね、優一。こんなにも可愛い子が一人で寂しがっていたなんて気づかなかった。今度ご飯でもいこうね」
「そうだな。家族の時間を増やそう。個室のいい店を知っている」
「うん、まぁ。うん」
それに、優一のリアクションを見ていたらなんとなく察してしまう。こいつは、素直になるのが下手なんだ。俺にはあんなに素直になれるのに。
寂しかったと言えばいいのにって思うけど、言えなかったんだな。ご両親に迷惑をかけたくなかったとか、仕事で忙しかった二人に言いづらかったとか。俺には想像することしかできないけど。それでもこれからは、ご両親に甘えられる時間が少しでも増えたならいいなと、心の中でひそかに願った。