ーーー
「…………ごめん!! あのとき、なにもできなくてごめん。優一、償いをさせてほしい」
「どうして真尋が謝るの? 言っただろう、真尋は俺の王子様だって。王子様の隣には、お姫様がいる。俺はずっと、真尋のお姫様でいたい」
優一は真面目な顔で、目線を逸らさずにそう伝えてくる。そこに一切、冗談の色はない。
なんでそんな恥ずかしいセリフを真顔で言えるんだよ。むり、ほんとむり。王子様は優一の方だろ。
「真尋は、俺の人生を変えてくれたんだ。あの日、綺麗だって言ってくれたから、俺はコスプレを続けられている。自分の気持ちに正直でいられてる。勝ちヒーローは、主人公に意地悪をするべきらしいけど、好きな子に意地悪なんて俺には無理。俺は真尋を甘やかしたい。ドロドロに甘やかして、俺だけのものにしたい」
優一は俺を床に押し倒して、ぐっと顔を近づけた。
「優一!? あの、ちょっと近いんじゃ………」
「当たり前だろ。近づけてるんだから」
どんどん、唇が近づいてくる。ただでさえ距離が近いのに、優一は更に顔を近づけた。
待って、待って。キスって、好きな子とするもので…………だから、俺とじゃなくて好きな子と―――
『好きな子に意地悪なんて無理。俺は真尋を甘やかしたい』
え。優一の好きな子って……………もしかして、俺?
「真尋、顔赤くなってる。俺のこと、意識してくれた?」
「え、えと。その………」
「俺はしてる。ずっと意識してるよ。だから、俺のことも意識して」
ダメだ、このままじゃ優一とキスしてしまう―――
「優一! 大丈夫なの!?」
「落ち着きなさい。まだ襲われているとは確定していな――――」
「あ………」
優一が俺を床に押し倒したまま、ご両親に目線を向ける。
ご両親はというと、母親が口を両手で抑えていて…………父親は、固まっていた。人形のように。
最悪のタイミングだ。
先程、「優一を人質にした。こなければ襲う」と、ご両親に連絡を入れたのだが......……
どう考えても、襲われてるの俺じゃない!?
「…………邪魔が入った」
「優一!?」
優一は小さく舌打ちをした。
え、態度がわるすぎる。
というか、思ってたのと違う。もう少し、ご両親に対してビクビク怯えているものだと勝手に推測していたんだけど。
思ったよりも横柄だ。不安がってる様子すらない。
「……………座りなさい、優一。真尋くんも」
「は、はい!」
俺は慌てて、優一を押しのけて椅子に座る。優一も渋々といった感じで、隣に腰掛ける。
正面には、複雑な表情をしている優一のお母さんとお父さん。
ご両親に連絡した俺が言うのもなんだけど、これどうしたらいいんだ。
まさか、優一にキスされそうになるところを見られることになるとは。
隣の様子を伺うべくちらりと視線を向ければ、優一は不機嫌そうに腕を組んでいた。
「……………真尋くん。優一と、その、お付き合いをしているのか」
「してません…………」
「なんだと? 優一。付き合っていないのに、真尋くんを押し倒してキスをしたのか」
うん、そうなるよな。当然の反応だ。
「優一。あなた、お付き合いしていない人様の子に手を出したの………?」
「出してない。…………まだ」
「―――まぁ」
沈黙が流れる。
優一のご両親は、どうにか状況を飲み込もうと必死だ。
優一はなにも言わない。
それなら、俺がどうにかしなければ―――
「あの! 優一のこと、もっと甘やかしてください!」
言った。あまりにも直球に。
普通は順序を追って説明すべきだろう。
だが、俺にはどうにか今の状況を変えたいもどかしさがあった。コスプレのこと。優一はどこまでご両親に話しているのか。そして、優一がなんでも一人で抱え込もうとすることも。彼らは知っているのだろうか。俺ですら、今日知ったのに。
「仕事が忙しいのはわかりますけど、もっと優一の気持ちとか考えてやってほしくて」
どんどん語尾が小さく、弱くなっていくのがわかる。
情けないな、自分から連絡したくせに。
「だから、えと。あ、甘やかさないなら、俺が優一を甘やかしますから!」
「あら」
「む………」
なに言ってるんだ俺!! もっと、こう上手い言い方あったのに。
「俺も真尋に甘やかしてほしい」
「優一がそこまで言うとは。やはり、真尋くんは凄い子だ」
「そうね、真尋くんなら安心できるわ」
あれ、想像してたのと違う。
こんなに簡単に歓迎されるものなのか?
「あの、俺が言いたいのは、もう少し家族の時間を増やしてほしいっていう………」
今の現状を解決したい気持ちはもちろんある。だけど、無理なら無理で、少しだけでもいいから優一に向き合ってほしい。
優一のために時間を使ってほしい。
優一に、「頼ってもいいんだ」と、伝えたい。一人きりで抱え込まなくても、俺がいる。家族がいる。
優一に頼られたいし、頼ってほしい。それだけなんだ。
「そうね、そうよね。仕事ばかりして、優一に寂しい思いをさせていたのかもしれないわね」
「だが、仕事に穴を開けるわけにもいかないだろう。今も途中で抜け出してきたんだ。そろそろ戻らなければ」
優一のお母さんもお父さんも、どちらもが席を立とうと腰を上げる。本当に会社に戻る気だ。
このままじゃなにも変わらない。
「待ってください! 少しだけ、時間をもらえませんか」
「真尋?」
隣にいる優一がきょとんとしてこちらを見上げる。俺は迷わず優一の手を引いて、寝室へ向かった。
バタンッと、扉が閉まる。
「どうしたの、いきなり……………」
「脱いで」
「え?」
「今から優一の服を全部脱がす!」
俺は、困惑してる優一の服を問答無用で脱がしにかかる。
「真尋!? まひ、まひろ!」
「大人しくしてればすぐに終わるから」
「それ、レイプ犯が言うやつ!」
「…………ごめん!! あのとき、なにもできなくてごめん。優一、償いをさせてほしい」
「どうして真尋が謝るの? 言っただろう、真尋は俺の王子様だって。王子様の隣には、お姫様がいる。俺はずっと、真尋のお姫様でいたい」
優一は真面目な顔で、目線を逸らさずにそう伝えてくる。そこに一切、冗談の色はない。
なんでそんな恥ずかしいセリフを真顔で言えるんだよ。むり、ほんとむり。王子様は優一の方だろ。
「真尋は、俺の人生を変えてくれたんだ。あの日、綺麗だって言ってくれたから、俺はコスプレを続けられている。自分の気持ちに正直でいられてる。勝ちヒーローは、主人公に意地悪をするべきらしいけど、好きな子に意地悪なんて俺には無理。俺は真尋を甘やかしたい。ドロドロに甘やかして、俺だけのものにしたい」
優一は俺を床に押し倒して、ぐっと顔を近づけた。
「優一!? あの、ちょっと近いんじゃ………」
「当たり前だろ。近づけてるんだから」
どんどん、唇が近づいてくる。ただでさえ距離が近いのに、優一は更に顔を近づけた。
待って、待って。キスって、好きな子とするもので…………だから、俺とじゃなくて好きな子と―――
『好きな子に意地悪なんて無理。俺は真尋を甘やかしたい』
え。優一の好きな子って……………もしかして、俺?
「真尋、顔赤くなってる。俺のこと、意識してくれた?」
「え、えと。その………」
「俺はしてる。ずっと意識してるよ。だから、俺のことも意識して」
ダメだ、このままじゃ優一とキスしてしまう―――
「優一! 大丈夫なの!?」
「落ち着きなさい。まだ襲われているとは確定していな――――」
「あ………」
優一が俺を床に押し倒したまま、ご両親に目線を向ける。
ご両親はというと、母親が口を両手で抑えていて…………父親は、固まっていた。人形のように。
最悪のタイミングだ。
先程、「優一を人質にした。こなければ襲う」と、ご両親に連絡を入れたのだが......……
どう考えても、襲われてるの俺じゃない!?
「…………邪魔が入った」
「優一!?」
優一は小さく舌打ちをした。
え、態度がわるすぎる。
というか、思ってたのと違う。もう少し、ご両親に対してビクビク怯えているものだと勝手に推測していたんだけど。
思ったよりも横柄だ。不安がってる様子すらない。
「……………座りなさい、優一。真尋くんも」
「は、はい!」
俺は慌てて、優一を押しのけて椅子に座る。優一も渋々といった感じで、隣に腰掛ける。
正面には、複雑な表情をしている優一のお母さんとお父さん。
ご両親に連絡した俺が言うのもなんだけど、これどうしたらいいんだ。
まさか、優一にキスされそうになるところを見られることになるとは。
隣の様子を伺うべくちらりと視線を向ければ、優一は不機嫌そうに腕を組んでいた。
「……………真尋くん。優一と、その、お付き合いをしているのか」
「してません…………」
「なんだと? 優一。付き合っていないのに、真尋くんを押し倒してキスをしたのか」
うん、そうなるよな。当然の反応だ。
「優一。あなた、お付き合いしていない人様の子に手を出したの………?」
「出してない。…………まだ」
「―――まぁ」
沈黙が流れる。
優一のご両親は、どうにか状況を飲み込もうと必死だ。
優一はなにも言わない。
それなら、俺がどうにかしなければ―――
「あの! 優一のこと、もっと甘やかしてください!」
言った。あまりにも直球に。
普通は順序を追って説明すべきだろう。
だが、俺にはどうにか今の状況を変えたいもどかしさがあった。コスプレのこと。優一はどこまでご両親に話しているのか。そして、優一がなんでも一人で抱え込もうとすることも。彼らは知っているのだろうか。俺ですら、今日知ったのに。
「仕事が忙しいのはわかりますけど、もっと優一の気持ちとか考えてやってほしくて」
どんどん語尾が小さく、弱くなっていくのがわかる。
情けないな、自分から連絡したくせに。
「だから、えと。あ、甘やかさないなら、俺が優一を甘やかしますから!」
「あら」
「む………」
なに言ってるんだ俺!! もっと、こう上手い言い方あったのに。
「俺も真尋に甘やかしてほしい」
「優一がそこまで言うとは。やはり、真尋くんは凄い子だ」
「そうね、真尋くんなら安心できるわ」
あれ、想像してたのと違う。
こんなに簡単に歓迎されるものなのか?
「あの、俺が言いたいのは、もう少し家族の時間を増やしてほしいっていう………」
今の現状を解決したい気持ちはもちろんある。だけど、無理なら無理で、少しだけでもいいから優一に向き合ってほしい。
優一のために時間を使ってほしい。
優一に、「頼ってもいいんだ」と、伝えたい。一人きりで抱え込まなくても、俺がいる。家族がいる。
優一に頼られたいし、頼ってほしい。それだけなんだ。
「そうね、そうよね。仕事ばかりして、優一に寂しい思いをさせていたのかもしれないわね」
「だが、仕事に穴を開けるわけにもいかないだろう。今も途中で抜け出してきたんだ。そろそろ戻らなければ」
優一のお母さんもお父さんも、どちらもが席を立とうと腰を上げる。本当に会社に戻る気だ。
このままじゃなにも変わらない。
「待ってください! 少しだけ、時間をもらえませんか」
「真尋?」
隣にいる優一がきょとんとしてこちらを見上げる。俺は迷わず優一の手を引いて、寝室へ向かった。
バタンッと、扉が閉まる。
「どうしたの、いきなり……………」
「脱いで」
「え?」
「今から優一の服を全部脱がす!」
俺は、困惑してる優一の服を問答無用で脱がしにかかる。
「真尋!? まひ、まひろ!」
「大人しくしてればすぐに終わるから」
「それ、レイプ犯が言うやつ!」
