陰キャだった俺が垢抜けたら陽キャ幼なじみに執着されて、抱かれました

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それは、まだ小学生にもなっていない頃のこと。
日曜の朝にやっていた、魔法少女のアニメを見ていた優一が、瞳を輝かせて「俺も同じ服を着てみたい」と言った。
魔法少女ということは、衣装は当然スカート。ふりふりでかわいい服。
当時の俺と優一にはスカートを履くのに羞恥心は感じなかった。好奇心の方が勝ったから。
周りの男子が戦闘もののアニメを見ている中、俺たちは何故か女子に混じって女児向けのアニメを見ていた。画面の向こうにいるおしゃれでかわいい女の子は俺たちに夢を与えてくれたんだ。
だから俺は優一の意見を否定することはなかった。問題は衣装だ。俺たちが女の子なら、両親に「衣装を買ってほしい」とお願いできたことだろう。だが、流石に言い出せなかった。
それならどうしようと悩んだ末に、自分たちで作ることにした。衣装の材料なら、問題なく親に買ってほしいとお願い出来たから。そうして親に買ってもらった材料で、さっそく衣装作りをはじめた。最初だから上手くできなくて、それでも本を読みながら、見よう見まねで衣装を作るあの時間はとても楽しかった。思えば、あれが初めてのオタ活だったのかもしれない。
最初は不慣れな作業に戸惑ったし、親に見つからないようにコソコソと隠れながら衣装を作ったものだ。
ミシンは家にないし、買ってもらうわけにもいかなかったから百円ショップや、もう着なくなった服を使ったり。
とにかくたくさんの工夫をした。
そうして完成した衣装を「できた!」と、嬉しそうに胸に抱く優一を見て、俺も同じくらいの嬉しさを感じた。
初めて作った服だから、細部なんて人に見せられる出来じゃないし、数回も着ないうちにすぐにボロボロになってしまったけれど…………
それでも楽しくて。なにより、優一と過ごす時間がどうしようもないほどに満たされた。
優一も、俺といるのは楽しいと言ってくれた。「両親が忙しくて家にいてもどうせ一人だから。真尋と一緒にいる時間が好きだ」と言ってくれたのだ。
だから俺たちは、こんな時間がずっと続くものだって心のどこかで思っていた。
だけど、現実は違った。それは、半年ほど経ったある日のこと。その日も俺と優一は、衣装作りに励んでいた。
場所は優一の自宅。スペースが広く、衣装作りがしやすいってことで優一の家におじゃますることになったのだが…………
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「女の子の服? どうしてこんなにたくさん………………優一! どういうことなの? 説明してちょうだい。場合によっては、お父さんに報告しますからね」
そう、優一のお母さんにコスプレ衣装がバレてしまったのだ。
クローゼットの奥深くにしまい込んでいた、ありとあらゆる可愛らしい衣装。どの衣装も誰が見たって、女の子用の服だとすぐにわかるデザインのものばかり。女児アニメを参考にしたのだから当然なのかもしれない。
当時、まだ幼い俺たちは、コスプレをしていたのだと上手く説明できなかった。
だから、勘違いをされてしまった。
優一は、女装をする趣味があると。
違うんだ。本当は、コスプレをしていただけなんだ。アニメキャラクターに憧れて、自作で服を作ってみただけなんだ。
優一は悪くない。そう言いたかったのに、俺の口からはなにもでなかった。優一を庇うことすらもしないで。
優一は俺の隣でずっと下を向いて黙っていた。まるで悪いことをした小さな子供のように。
俺が弁解するべきだったのに。俺が上手く言えればまた何か変わったのだろうか。
「ゆういち。また、あしたね」
「………………まひろ。男がふりふりのお洋服を着るなんて、変かな」
「どうして?」
「だって、俺は男だし………………」
「きれいだったよ。おひめさまみたいで、すごくきれいだった」
「ほんと…………?」
「うん!」
「まひろは、俺の王子様だ」
その日を境に、優一と遊ばなくなった。どうしてなのか、今でもわからない。ただ、もう会っちゃいけないような気がして。会っても、なにを話せばいいか……………
まずは謝ることからかな? 優一のこと、庇えなくてごめんなさいって。俺、役たたずだったって。それとも、衣装作り続けてほしいって言うべきだったかな。
だって、綺麗だったんだ。誰よりも綺麗だった。
でも、きっと優一は傷ついてる。そんな彼に、これ以上衣装作りを続けてほしいなんて言うのは無責任なのだろうか。
頭の中がぐるぐるして、考えがまとまらなくて。そう時間が過ぎていくうちに、いつのまにか優一と距離が開いていた。
それでも、優一を無視していたわけじゃないし関係が全て終わったわけでもない。学校で目を合わせれば挨拶を交わして、給食の話で盛り上がったりもした。
好きな教科や苦手な教科。身長が何センチ伸びたとか、そういう話は続けていた。
けど、コスプレの話だけはどちらからも切り出すことはなかった。
だから、優一がコスプレを続けていることとか。なんてことない顔でコスプレの話をする優一は眩しかった。
俺は逃げていたのに。あの日の出来事に、目を背け続けていたんだ。
コスプレからも逃げた。ぬい活って趣味はできたけど、コスプレはしなかった。だから、嬉しかったんだ。また、優一とコスプレすることができて。
同時に怖くもあった。ご両親とはあれからどうなったんだろうって。聞くに聞けなかった。
本当はこうして、優一の隣にいる資格すらないはずなのに。
優一は俺を責めない。なにもしなかった俺を。
だからこそ、もう逃げるのはやめることにした。これは俺の自己満足なのかもしれない。優一は望んでいないかもしれない。全部わかってて、優一のご両親に連絡をした。
これからどうなるのか、どうなってしまうのか。不安でしかたなくて、でもきっと俺の何倍も優一の方が不安を感じているだろうから。
俺は、過去を忘れていたんじゃない。記憶の片鱗を覗く勇気がなかったんだ。ずっと昔の記憶に蓋をして、思い出さないようにしていただけだ。
…………今度こそ逃げない。たとえ、自己満足だったとしても。
このままでいるのだけは、嫌なんだ。