しまった。アニメのリアタイしてないじゃん!!
早朝に目を覚ました俺は、絶望しながらベッドから体を起こした。家を出るまで、まだ一時間くらいはある。
「ねむ……ゆういち、ゆういち」
まだ少し寝ぼけた声で優一を呼ぶが、返事はない。
「んん、いない」
隣には誰もいなかった。
なんでだよ、こういうのは仲良く一緒に起きるものじゃないのか。…………別にいいけど。
俺は小さくあくびを噛み殺して、大理石の床に足をおろした。
部屋の扉を開けると、キッチンから漂う挽きたてのコーヒーの香りが脳の目覚めを促してくれる。
香ばしく、どこかフルーティーな甘酸っぱさを孕んだ薫香が空っぽの胃を優しく刺激した。
「あ………真尋、おはよう」
声のした方へ視線を向けると、バスローブ姿の優一が優雅にコーヒーを淹れていた。
……………バスローブ姿の優一。バスローブ姿。え?
「おはよう…………いい匂いする」
突っ込まなかった。似合ってたし。
一定期間優一と話す機会がなかったからなのか、目の前にいる男が妙に大人っぽく見えるのは気のせいだろうか。
優一を惚れさせないといけないのに、これじゃまるで俺の方が……………
ダメだ、ダメだ。朝からなにを考えてるんだ俺は!
「ねぇ、真尋。コーヒー飲む?」
「コーヒー………なんかいっぱいフルーツあるんだけど、なにこれ」
「あー、これ? コールドブリューだよ」
「こーるどぶりゅー…………」
「水出しコーヒー。作るのに少し時間がかかるんだけど美味しいよ」
「はえー………」
なにもわからない。見た目が鮮やかで、綺麗なことくらいしか情報が入ってこない。
「わかってないだろ。一般的なコーヒーよりも苦味がないから飲みやすいんだよ。オレンジとかレモンとか。いちご、ブルーベリーをトッピングすると、爽やかさが増すんだ。おしゃれな見た目で気に入っててね。一緒にどう?」
「じゃあ…………いちごのやつがいい」
優一は慣れた手つきで、カップの中に蜂蜜を入れる。
コーヒーにいちごと蜂蜜…………俺の知らないコーヒーだ。
コーヒーといえば黒くて苦いイメージだけど、優一の淹れたコーヒーは苦味なんてなさそうだ。
フルーツが入ってるから、見た目もコーヒーってより紅茶のようだ。
料理はてんでダメなのに、コーヒーは作れる。また新しい優一の一面が見えた。
やっぱり、幼なじみだからってなんでも知ってるわけじゃないんだな。もっと優一のこと、知ってると思ってたのに。
………………それにしても、優一って男子高校生だよな?
朝からバスローブでコーヒー淹れてる男子高校生。悔しいけど様になってる。かっこいい。絶対言わないけど。
「はい、どうぞ」
「ありがと」
◇◇◇
「ん……うま」
(美味しすぎて飲みすぎたな……コーヒーなのに全然苦くなかった)
あまりの美味しさに水コーヒーってやつを三杯も飲んだ俺は、気づけばソファーでだらだらとしてしまった。
このままだと二度寝してしまう。俺は無理やり体をおこして、気合いでメイクをした。
昨日、家に戻ってメイクの道具を持ってきてよかった。さすがに全部は持ってきていないから、今あるものでいつもの顔面を完成させるしかない。
優一も隣で、髪をセットしたり香水をつけたりしていた。メイクをしている俺が言うのもなんだけど、学校に香水って校則とか大丈夫かよ。
少し心配になった俺は、香水をつけてもいいのか優一に聞いてみたのだが、「水香水だから問題ない、どうせうちの教師共は気づかない」だ、そうだ。
水コーヒーといい、水香水といい。水好きすぎだろ、こいつ。
まぁでも、うちの学校の先生がこういうのに疎いのはわかる。
そのおかげで俺は理想の自分になれるからありがたい。メイクするとテンション上がるから好きだ。
「そろそろ行こうか」
いつのまにか髪のセットを終えた優一が、スクールバッグを片手に持っていたので俺も慌てて立ち上がる。
「……………ご両親は今日もお仕事?」
「そうだね。二人とも大変らしいよ」
「そっか」
こんなに広い家でずっと一人なんだな、優一は。
早朝に目を覚ました俺は、絶望しながらベッドから体を起こした。家を出るまで、まだ一時間くらいはある。
「ねむ……ゆういち、ゆういち」
まだ少し寝ぼけた声で優一を呼ぶが、返事はない。
「んん、いない」
隣には誰もいなかった。
なんでだよ、こういうのは仲良く一緒に起きるものじゃないのか。…………別にいいけど。
俺は小さくあくびを噛み殺して、大理石の床に足をおろした。
部屋の扉を開けると、キッチンから漂う挽きたてのコーヒーの香りが脳の目覚めを促してくれる。
香ばしく、どこかフルーティーな甘酸っぱさを孕んだ薫香が空っぽの胃を優しく刺激した。
「あ………真尋、おはよう」
声のした方へ視線を向けると、バスローブ姿の優一が優雅にコーヒーを淹れていた。
……………バスローブ姿の優一。バスローブ姿。え?
「おはよう…………いい匂いする」
突っ込まなかった。似合ってたし。
一定期間優一と話す機会がなかったからなのか、目の前にいる男が妙に大人っぽく見えるのは気のせいだろうか。
優一を惚れさせないといけないのに、これじゃまるで俺の方が……………
ダメだ、ダメだ。朝からなにを考えてるんだ俺は!
「ねぇ、真尋。コーヒー飲む?」
「コーヒー………なんかいっぱいフルーツあるんだけど、なにこれ」
「あー、これ? コールドブリューだよ」
「こーるどぶりゅー…………」
「水出しコーヒー。作るのに少し時間がかかるんだけど美味しいよ」
「はえー………」
なにもわからない。見た目が鮮やかで、綺麗なことくらいしか情報が入ってこない。
「わかってないだろ。一般的なコーヒーよりも苦味がないから飲みやすいんだよ。オレンジとかレモンとか。いちご、ブルーベリーをトッピングすると、爽やかさが増すんだ。おしゃれな見た目で気に入っててね。一緒にどう?」
「じゃあ…………いちごのやつがいい」
優一は慣れた手つきで、カップの中に蜂蜜を入れる。
コーヒーにいちごと蜂蜜…………俺の知らないコーヒーだ。
コーヒーといえば黒くて苦いイメージだけど、優一の淹れたコーヒーは苦味なんてなさそうだ。
フルーツが入ってるから、見た目もコーヒーってより紅茶のようだ。
料理はてんでダメなのに、コーヒーは作れる。また新しい優一の一面が見えた。
やっぱり、幼なじみだからってなんでも知ってるわけじゃないんだな。もっと優一のこと、知ってると思ってたのに。
………………それにしても、優一って男子高校生だよな?
朝からバスローブでコーヒー淹れてる男子高校生。悔しいけど様になってる。かっこいい。絶対言わないけど。
「はい、どうぞ」
「ありがと」
◇◇◇
「ん……うま」
(美味しすぎて飲みすぎたな……コーヒーなのに全然苦くなかった)
あまりの美味しさに水コーヒーってやつを三杯も飲んだ俺は、気づけばソファーでだらだらとしてしまった。
このままだと二度寝してしまう。俺は無理やり体をおこして、気合いでメイクをした。
昨日、家に戻ってメイクの道具を持ってきてよかった。さすがに全部は持ってきていないから、今あるものでいつもの顔面を完成させるしかない。
優一も隣で、髪をセットしたり香水をつけたりしていた。メイクをしている俺が言うのもなんだけど、学校に香水って校則とか大丈夫かよ。
少し心配になった俺は、香水をつけてもいいのか優一に聞いてみたのだが、「水香水だから問題ない、どうせうちの教師共は気づかない」だ、そうだ。
水コーヒーといい、水香水といい。水好きすぎだろ、こいつ。
まぁでも、うちの学校の先生がこういうのに疎いのはわかる。
そのおかげで俺は理想の自分になれるからありがたい。メイクするとテンション上がるから好きだ。
「そろそろ行こうか」
いつのまにか髪のセットを終えた優一が、スクールバッグを片手に持っていたので俺も慌てて立ち上がる。
「……………ご両親は今日もお仕事?」
「そうだね。二人とも大変らしいよ」
「そっか」
こんなに広い家でずっと一人なんだな、優一は。
