「さて、夕飯にしようか」
もう切り替えたのか、優一は眼鏡をかけてキッチンに立っていた。
時間はとっくに八時を過ぎているのに、優一の両親はまだ帰ってきていないみたいだった。
「なにがいい?」
「肉」
「うん、そうしようか。真尋は本当にお肉が好きだねー。いいことだよ、大きくなれるからね」
「な……! 今、バカにした!」
「してないよ」
俺たちは並んでキッチンに立った。いつのまにか、優一が俺の背後に立っていてエプロンをつけてくれた。相変わらずスマートだ。
けど、このエプロン………ふりふりが多くあるように見えるのは気のせいだろうか。
優一のは、バーテンダーみたいなエプロンしてるし。様になってるのがムカつく。俺もかっこいいのがよかったな。
人様の家で出されたものに文句を言うわけにもいかないので、俺は大人しくふりふりのエプロンを着けたまま、料理をすることになった。
作る料理はハンバーグ。
相変わらず優一の家の冷蔵庫はデカい。なんでもありそうだ。
まずは玉ねぎをしんなりとした色になるまで炒めて、お皿にとって冷ます。この工程が意外と大事。肉の旨みとか肉汁とかを逃がさないために、玉ねぎはしっかりと冷ます必要がある。
もし、炒めたての熱い玉ねぎをひき肉に混ぜてしまうと、焼く前の段階でお肉の脂が溶けてしまうから。
ちょっと冷たいかな? くらいが丁度いい。
優一の方はどうなってるか―――
え!? 泣いてる!?
「優一!? 大丈夫?」
「ん、玉ねぎが目に染みる……」
「あー、玉ねぎはなぁ。眼鏡かけてても染みるから」
「そうなの?」
「うん、鼻にティッシュ詰めるといいよ」
「絵面がいやだ」
「文句言うな」
そうして、なんとかハンバーグは完成した。味は、王道のデミグラス。付け合せとして人参とブロッコリーもある。
料理中の優一はというと、いつもの余裕は消え失せ、あたふたしていたから面白い。
油が跳ねただけで大騒ぎ。ひき肉を丸ごとフライパンに入れようとしたり。お肉は半分焦げてるし、見た目はちょっとやばい。
「意外と料理が苦手なんだな」って聞くと、普段は出前か家政婦さんを雇っていて料理はほぼしないとのこと。
せっかくこんなデカい冷蔵庫があって、食材もたくさんあるのに出前を頼むのはちょっと勿体ない。
「…………美味しい。いつもと味が違う」
出来上がったハンバーグを口に運んだ優一が、ほんの少し驚いたように目を見開いた。
「いつもって、普段なに食べてんの?」
「出前のパサついた肉とか、家政婦が作った冷たいハンバーグとか」
「げ………大丈夫かよ、それ。今日はいっぱい食べて。なくなったら、俺がまた作るから」
「………作ってくれるのか?」
「当たり前でしょ、あんなに食材があるのに使わないと無駄になるって。それに、愛情が入ってるご飯は美味しいんだからな! 優一には、これから出来たてのご飯を食べてもらう!」
「………ん、楽しみにしてる」
優一にたくさんハンバーグを食べさせていたら、いつのまにか二十三時を超えていた。
俺はまた母親に連絡を入れるのを忘れてしまい、「心配するでしょ!!」と怒られてしまう。
だけど、優一が母さんに電話をしてくれた。これまたスマートに対応してくれたおかげで母さんの怒りはなんとか収まった、はず。
そして、もう夜も遅いとのことで、その日の夜は優一の家にお泊まりすることになった。
母さんは随分と優一を信頼していて、「彼がいるなら安心ね」と快くお泊まりを許可してくれたのだ。
俺と優一は、同じベッドで眠ることに。
こういうのって、大体二人で寝ると幅が狭くなって、お互いの距離が縮まる…………なんてのが、定番だ。
でも、優一のベッドはとても大きくて、二人で寝ても全く問題なかった。
(ドキドキな展開とかあると思っていたけど………なんもないな。べ、別に、何かあってほしいってわけじゃないし。………早く寝よ)
もう切り替えたのか、優一は眼鏡をかけてキッチンに立っていた。
時間はとっくに八時を過ぎているのに、優一の両親はまだ帰ってきていないみたいだった。
「なにがいい?」
「肉」
「うん、そうしようか。真尋は本当にお肉が好きだねー。いいことだよ、大きくなれるからね」
「な……! 今、バカにした!」
「してないよ」
俺たちは並んでキッチンに立った。いつのまにか、優一が俺の背後に立っていてエプロンをつけてくれた。相変わらずスマートだ。
けど、このエプロン………ふりふりが多くあるように見えるのは気のせいだろうか。
優一のは、バーテンダーみたいなエプロンしてるし。様になってるのがムカつく。俺もかっこいいのがよかったな。
人様の家で出されたものに文句を言うわけにもいかないので、俺は大人しくふりふりのエプロンを着けたまま、料理をすることになった。
作る料理はハンバーグ。
相変わらず優一の家の冷蔵庫はデカい。なんでもありそうだ。
まずは玉ねぎをしんなりとした色になるまで炒めて、お皿にとって冷ます。この工程が意外と大事。肉の旨みとか肉汁とかを逃がさないために、玉ねぎはしっかりと冷ます必要がある。
もし、炒めたての熱い玉ねぎをひき肉に混ぜてしまうと、焼く前の段階でお肉の脂が溶けてしまうから。
ちょっと冷たいかな? くらいが丁度いい。
優一の方はどうなってるか―――
え!? 泣いてる!?
「優一!? 大丈夫?」
「ん、玉ねぎが目に染みる……」
「あー、玉ねぎはなぁ。眼鏡かけてても染みるから」
「そうなの?」
「うん、鼻にティッシュ詰めるといいよ」
「絵面がいやだ」
「文句言うな」
そうして、なんとかハンバーグは完成した。味は、王道のデミグラス。付け合せとして人参とブロッコリーもある。
料理中の優一はというと、いつもの余裕は消え失せ、あたふたしていたから面白い。
油が跳ねただけで大騒ぎ。ひき肉を丸ごとフライパンに入れようとしたり。お肉は半分焦げてるし、見た目はちょっとやばい。
「意外と料理が苦手なんだな」って聞くと、普段は出前か家政婦さんを雇っていて料理はほぼしないとのこと。
せっかくこんなデカい冷蔵庫があって、食材もたくさんあるのに出前を頼むのはちょっと勿体ない。
「…………美味しい。いつもと味が違う」
出来上がったハンバーグを口に運んだ優一が、ほんの少し驚いたように目を見開いた。
「いつもって、普段なに食べてんの?」
「出前のパサついた肉とか、家政婦が作った冷たいハンバーグとか」
「げ………大丈夫かよ、それ。今日はいっぱい食べて。なくなったら、俺がまた作るから」
「………作ってくれるのか?」
「当たり前でしょ、あんなに食材があるのに使わないと無駄になるって。それに、愛情が入ってるご飯は美味しいんだからな! 優一には、これから出来たてのご飯を食べてもらう!」
「………ん、楽しみにしてる」
優一にたくさんハンバーグを食べさせていたら、いつのまにか二十三時を超えていた。
俺はまた母親に連絡を入れるのを忘れてしまい、「心配するでしょ!!」と怒られてしまう。
だけど、優一が母さんに電話をしてくれた。これまたスマートに対応してくれたおかげで母さんの怒りはなんとか収まった、はず。
そして、もう夜も遅いとのことで、その日の夜は優一の家にお泊まりすることになった。
母さんは随分と優一を信頼していて、「彼がいるなら安心ね」と快くお泊まりを許可してくれたのだ。
俺と優一は、同じベッドで眠ることに。
こういうのって、大体二人で寝ると幅が狭くなって、お互いの距離が縮まる…………なんてのが、定番だ。
でも、優一のベッドはとても大きくて、二人で寝ても全く問題なかった。
(ドキドキな展開とかあると思っていたけど………なんもないな。べ、別に、何かあってほしいってわけじゃないし。………早く寝よ)
