俺の黒歴史がバレた日。文字通り、人生が終わると思った。写真が学校全体に広まれば、俺の居場所はなくなる。最悪、学校に行けなくなる可能性だってあったわけだ。
でも、そうならなかった。優一が助けてくれたから。
早めに写真を取り返してくれたおかげで、俺の写真が別クラスまで流れることはなかった。次の日には主犯格のクラスメイトが謝ってきたことで、クラスメイトたちもそれ以上事を騒ぎ立てることはなかった。
問題は、終人が俺の写真の存在を知っていること。
別クラスまで広まらなかったとはいえ、同じクラスの終人の耳には届いているだろうから。
「ん、知ってるよ。あの写真、広めろって言ったの俺だし」
「……………え?」
「真尋の写真持ってたの、俺だから」
「一応聞くけど、理由は。真尋の写真を広めた理由」
こんな状況でも優一は冷静だった。いや、冷静でいようとしているのか。声が平坦だった、怖いくらいに。
「本当なのか確かめたかったからだよ。あの写真な、真尋と同じ中学のやつからメールでもらってさ。印刷したんだ、面白そうだったから」
「面白いって、お前真尋のこと、好きなんじゃないのか」
「顔がいいから付き合いたいだけ。昔はブスだけど、今が可愛いならいいじゃん?」
「………………はぁ、今の聞いて安心した」
「は?」
「お前がこんなにクズなら、躊躇う必要ないよね。真尋は俺がもらうから。帰ろう、真尋」
優一は俺の腕を引っ張りながらさらっと会計を済ませて店を出た。空気が湿っている。たしか、今日は雨が降るんだっけか…………
天気予報では雨が降る時間帯は夜のはずだから、俺も優一も傘を持ってきていない。こんなことなら折りたたみでも持ってきたらよかったな。
そんなことを考えながら空を見上げると、ぽつぽつと小雨が瞼に落ちた。でもそれもほんの少しだけで、またたく間に篠突く雨へと変わった。
「あ、メイク落ちる………!」
「ははっ、雨降ってるのに、メイクの心配するなんて真尋らしいね。―――俺の家まで走ろうか」
「ちょ、滑るって!」
楽しかった。優一と雨の中を走るのは。メイクが崩れてるかもしれないのに。さっき、あんなことが起きたばかりなのに。
不思議と、どうでもいいと思えた。
「あーーー! もう、やっぱりメイク落ちてる!! メイク直ししたい!」
やっぱりどうでもよくないわ。せっかくメイクしたのに。
「綺麗だよ」
「え、本気で言ってる? この顔だよ? すっぴんだよ?」
「いつもと雰囲気が違うから、新鮮だね。どっちも綺麗だ」
…………なんだこいつは。真顔で綺麗なんて言うな。これだからモテ男は。
あの後、雨に濡れた俺たちは急いで優一のマンションに駆け込んだ。服も髪も雨でびしょびしょになったから、優一からタオルを借りて制服についた雨水を落とした。
タオルで水滴を拭く俺に、優一がお風呂を勧めてくれたのでその好意に甘えることにした。
優一の家の風呂場は、大浴場かってくらい広くて、トイレが五個あっても余りそうなくらいだ。
トイレとお風呂が一緒になっているユニットバスって、あまり好かれないけど優一のところはバスとトレイが同じでも気にならないだろうな。まぁ、ここはバストイレ別だけど、同じ空間にあってもいいかなってくらいには広くて快適だった。
お風呂を終えたあとは、俺のお気に入りのぬい、"ゆう"を抱いてゆっくりと過ごした。
学校に持っていったわけじゃない。お風呂のあと、一旦家に戻ったのだ。もちろん優一には連絡を入れた。やっぱりメイク直しもしたかったし、そのついでに"ゆう"も持ってきた。
持ってくる必要があるのかないのかでいうと……………ないんだけど、俺の精神に大きく関わるので持ってくることにした。
だって、学校がある日は"ゆう"を持っていけないわけで、仕方ないことではあるんだけど、やっぱりちょっと寂しくて。推しとずっと一緒にいたい気持ちがどうしても勝るのだ。
(あっかい、小さくてかわいい。俺の"ゆう")
優一は今、俺と交代でお風呂に入っている。
静かでゆったりとした時間だ。雨の音とぬいのあたたかな感触に、俺はいつの間にか眠りに落ちていた。
でも、そうならなかった。優一が助けてくれたから。
早めに写真を取り返してくれたおかげで、俺の写真が別クラスまで流れることはなかった。次の日には主犯格のクラスメイトが謝ってきたことで、クラスメイトたちもそれ以上事を騒ぎ立てることはなかった。
問題は、終人が俺の写真の存在を知っていること。
別クラスまで広まらなかったとはいえ、同じクラスの終人の耳には届いているだろうから。
「ん、知ってるよ。あの写真、広めろって言ったの俺だし」
「……………え?」
「真尋の写真持ってたの、俺だから」
「一応聞くけど、理由は。真尋の写真を広めた理由」
こんな状況でも優一は冷静だった。いや、冷静でいようとしているのか。声が平坦だった、怖いくらいに。
「本当なのか確かめたかったからだよ。あの写真な、真尋と同じ中学のやつからメールでもらってさ。印刷したんだ、面白そうだったから」
「面白いって、お前真尋のこと、好きなんじゃないのか」
「顔がいいから付き合いたいだけ。昔はブスだけど、今が可愛いならいいじゃん?」
「………………はぁ、今の聞いて安心した」
「は?」
「お前がこんなにクズなら、躊躇う必要ないよね。真尋は俺がもらうから。帰ろう、真尋」
優一は俺の腕を引っ張りながらさらっと会計を済ませて店を出た。空気が湿っている。たしか、今日は雨が降るんだっけか…………
天気予報では雨が降る時間帯は夜のはずだから、俺も優一も傘を持ってきていない。こんなことなら折りたたみでも持ってきたらよかったな。
そんなことを考えながら空を見上げると、ぽつぽつと小雨が瞼に落ちた。でもそれもほんの少しだけで、またたく間に篠突く雨へと変わった。
「あ、メイク落ちる………!」
「ははっ、雨降ってるのに、メイクの心配するなんて真尋らしいね。―――俺の家まで走ろうか」
「ちょ、滑るって!」
楽しかった。優一と雨の中を走るのは。メイクが崩れてるかもしれないのに。さっき、あんなことが起きたばかりなのに。
不思議と、どうでもいいと思えた。
「あーーー! もう、やっぱりメイク落ちてる!! メイク直ししたい!」
やっぱりどうでもよくないわ。せっかくメイクしたのに。
「綺麗だよ」
「え、本気で言ってる? この顔だよ? すっぴんだよ?」
「いつもと雰囲気が違うから、新鮮だね。どっちも綺麗だ」
…………なんだこいつは。真顔で綺麗なんて言うな。これだからモテ男は。
あの後、雨に濡れた俺たちは急いで優一のマンションに駆け込んだ。服も髪も雨でびしょびしょになったから、優一からタオルを借りて制服についた雨水を落とした。
タオルで水滴を拭く俺に、優一がお風呂を勧めてくれたのでその好意に甘えることにした。
優一の家の風呂場は、大浴場かってくらい広くて、トイレが五個あっても余りそうなくらいだ。
トイレとお風呂が一緒になっているユニットバスって、あまり好かれないけど優一のところはバスとトレイが同じでも気にならないだろうな。まぁ、ここはバストイレ別だけど、同じ空間にあってもいいかなってくらいには広くて快適だった。
お風呂を終えたあとは、俺のお気に入りのぬい、"ゆう"を抱いてゆっくりと過ごした。
学校に持っていったわけじゃない。お風呂のあと、一旦家に戻ったのだ。もちろん優一には連絡を入れた。やっぱりメイク直しもしたかったし、そのついでに"ゆう"も持ってきた。
持ってくる必要があるのかないのかでいうと……………ないんだけど、俺の精神に大きく関わるので持ってくることにした。
だって、学校がある日は"ゆう"を持っていけないわけで、仕方ないことではあるんだけど、やっぱりちょっと寂しくて。推しとずっと一緒にいたい気持ちがどうしても勝るのだ。
(あっかい、小さくてかわいい。俺の"ゆう")
優一は今、俺と交代でお風呂に入っている。
静かでゆったりとした時間だ。雨の音とぬいのあたたかな感触に、俺はいつの間にか眠りに落ちていた。
