木漏れ日の中の光

 私はもう、何がなんだかよく分からなくなっていた。

 走り出しても意味がないことは分かってる。

 どこにいても、私は私なのに。

 私は使われていない空き教室にすぐ入った。

 旗や未使用のボックスが積み重なっていた。

 その中で、私は縮こまった。

 私はマスクを手で握りつぶして、涙を流した。

 瞼に溜まる涙を手で拭い、鼻をすする。

 ティッシュもないので、手で拭き取るしかなかった。

「ふぅ……」

 少し息を整えてから、私は目を瞑った。

「大丈夫、大丈夫」

 私は冷静を装い、大丈夫の呪文を唱える。

 大丈夫。私は大丈夫。

 なんとかなる。

 膝を両手で包み込み、下に俯き呟いた。

 これまで、乗り越えてきた。

 母さんが私に冷たくなっても、兄さんが母さんの前で強気になっても私は何も言わない。

 家族……なのに……

 友達からもいないものにされているのかと思うと、なにもかもやりきれない想いになった。

 体育座りをして、涙を拭き取った瞼は泣いた跡がついているだろう。

 私はすかさず、服の袖で顔をゴシゴシ拭いた。

 そんなことをしても、変わらないのは分かってる。