木漏れ日の中の光

 鈴子は立っている私に聞いてきた。

 私は目を逸らして、「うん」とゆっくりと頷いた。

 本当は嫌だった。

 鈴子が人を誘うなんて、久しぶりのことだった。

 こんなこと滅多にない。

 人の小さな変化にも気づく相手には、少しでも心を許す。それが鈴子のいいところだ。

 それからは、おしゃべりになる。

 苦笑いを浮かべた私を気にすることなく、もうひとつ机をつけて笑いあっていた。

 私は横目で見てから、自分の席に座った。

 いつも、鈴子と話している私の場所がなくなった。

 急に居場所を奪われた私は疎外感でいっぱいだった。

「花染さんはなんでマスクしてるの?」

 クラスメイトは私と距離が縮まったと思って、質問したのだろう。

 その質問が私の刃を貫いた。

「あのさ……その質問は……」

 鈴子が言いかけた時には私は椅子から立ち上がっていた。

 私は教室のドアを勢いよく、開けた。

 もう、私にはなにもない。

 恥ずかしい。

 こんな私がどう見られているのか。

 怖い……怖い。

 この世の中はみな、自分のことしか考えていない。

 世間体や他人・家族の目を気にしているのか。