机に頬杖をついて、外の景色を眺めていた。
手でかざしてみると、手の隙間から零れる光が、余計に私の心へと射し込んでくる。
「花染」
鈴子が呼ぶ声に振り向いた。
「うーん」
「次、移動教室だよ。準備した?」
鈴子はリコーダーやテキストを両手で抱えて、私の席へ声をかけてきた。
「あー、うん。行く」
私は立ち上がり、机にあったものを手にして、鈴子と音楽室へ向かった。
「花染。最近さ、なんか違くない?」
隣にいた鈴子に顔を向けて、うん? と首を傾げた。
「違くない? ってなに?」
私は眉を寄せた。
「うーん、なんて言えばいいのか分からないけど。花染、少し色気出てきた?」
なにを言い出すかと思いきや、色気?
私に色気なんてある訳ないのに。
鈴子が私にそんなことを聞いていたのは、なにか理由があるのか。
「色気? ないよ。なに」
私は鈴子と目を合わせて、左右に手を振る。
「でもさ、花染なんか前とは違うよ。それだけ言いたかったの」
鈴子は私に言うことだけ言って、先に音楽室へと行った。
前とは違う。
本当に前とは違うのか。
自分では分からない。
変わらないと思っていたのが、もしかして変わっているのか。
フッと思ったら、思い浮かんだのは翔月だった。
翔月に会ってから、何かが変わり始めていた。



