木漏れ日の中の光

 相手にどう思われているのか、見られていると思うと、とにかく怖く、いつも下を向き玄関先までたどり着く。

「花染」

「なに?」

 私は下を向いたまま、靴を履き替えた。

「……いや……なんでもない」

 鈴子の顔は見えなかったが、多分、こう言いたかったのだろう。

 大丈夫? という言葉。

 学校がある時は、体調不良など用事がなければ、いつも隣には鈴子がいた。

 私の様子がおかしいことはあるが、声はかけない。

 今日、声を掛けてきたのは、いつもより顔色が悪いと思ったからだと思う。

 見えない優しさが私の心を解かせる。

 教室まで歩いた後、担任の足音が聞こえてくる。

「来た、来た!」

 クラスメイトは靴のサイズが合っていないパカパカという音にすぐ気づく。

 瞬時に自分の席に戻り、なにもなかったように前を向いていた。

「えーと、明日から春休みに入ります。そのために…今日は課題を終わらせましょう。いいですか? 四月からは高校三年生で受験も控えています。気を引き締めてください」

 言葉は優しいが、厳しさもあった。

 担任の黒望(くろもち)先生の表情は無に近かった。