木漏れ日の中の光

「……今日は来れなくなったの。だから、一緒に見に行かない? って、提案したの。どう?」

 女の子はどう? と私に聞いてきた。

 この子も、親が来られなくなったのか。

 私と同じだ。

「……いいの? 私で」

 私は目を見開き、女の子の顔をじっくりと見て言う。

「……いいに決まってるじゃん。じゃあ、行こう」

 私の手を引いて、女の子は急に走り出した。

「ちょっと……ここ室内だから走るのダメだよ」

 私は少し大きい声で言うと、「大丈夫」と言い、アハハと笑ってそのまま駆けていた。

 それを見た警備員は私たちに「止まれ!」と叫んでいたので、一時的にトイレに避難した。

「ねぇ、なんで走ったの」

 私は少し息切れをしてから女の子に問いかける。

「なんとなく? あと少ししたら、グッズ会場行こう」

 持っていたリュックを肩にかけ直してから、ニコリと微笑む。

「ねぇ、名前なんて言うの?」

 女の子の名前を聞いていないと思い、私は立ったまま聞いた。

「あ、私……姫野唯(ひめのゆい)、ファン同士よろしくね。あなたの名前は?」

 笑ったまま私に言い、姫野唯は私に聞き返す。

「私は水篠翔月。よろしく」