木漏れ日の中の光

「……でも」

 お母さんが何かを言いかけたので、言葉を重ねた。

「お母さんが言ったんでしょ。ひとりで行ける? って」

 私は首を捻り、お母さんの背中をさする。

「本当に大丈夫? ひとりで」

「うん、なんとか行ってみるよ。お兄ちゃんにもちゃんと連絡するから」

 私は大丈夫とお母さんに何度も言って、なだめてから外に出た。

 コンサート会場まではちょっと遠い。

 電車を乗り継いで、険しい坂を上れば、会場に着く。

 そこまで体力がもてばいいな。

「いってきます」

 私はお母さんに見送られて、ライブ会場へ足取り軽く歩き出した。

「……ひとりでか」

 私は歩きながらひとりで行けるのか、行って楽しめるのかと一気に不安が押し寄せる。

 波がどんどんと押し寄せてきて、同時に自分自身が波に飲み込まれそうになった。

 飲み込まれそうになる手前で、私は意識を現実に戻した。

「……はぁ、危なっ」

 歩いていたので、なにかにぶつかったりしなくてよかった。

 そのままゆっくりと駆けていき、バス停まで着いた。

「……ここまで順調」

 バス停に着き、バスを待った。