木漏れ日の中の光

 お兄ちゃんがアイドルだからという理由で、特別にチケットをもらう訳ではない。

 お母さんと一緒にファンクラブに入って、協力しながらチケットを取った。

 お兄ちゃんが所属するアイドルグループは、めちゃくちゃ人気だ。

 十代から二〇代まで若い世代に人気で、チケットを取るにも苦戦した。

 願いが叶って、初のライブ参戦ができた。

 ライブ当日

「お母さん、行こう」

 私は自分の準備を整えてから、リビングにいるお母さんに声をかける。

 すると、お母さんはゴホゴホと咳をしていた。

「お母さん?」

「…翔月? ゴメン。ゴホゴホ…お母さんね、咳が止まらなくて…ゴホゴホ。お兄ちゃんには連絡したから、今日はお母さん行けない。翔月、ひとりで行ける?」

 お母さんはソファーに座り込んだまま、咳をして私にか細い声で言ってきた。

「え? お母さん、大丈夫?」

 私は心配になり、お母さんの傍まで行き、顔を覗かせる。

「…大丈夫…ゴホゴホ…ああ」

 話しても、咳が止まらない。

「お母さん、休んでてよ。ひとりで行って来るから」

 私は自分の鞄を肩にかけて、グーポーズを出した。

 それでも、お母さんは心配な様子だった。