木漏れ日の中の光

 それは、私が小学生だったころのことだった。

「ねぇねぇ、お兄ちゃん」

「なんだよ?」

 私には四個上の兄がいる。

「テレビにいるのって、お兄ちゃんなの?」

 リビングで椅子に座り、母が作った朝食を食べていた。

「あ? そうだよ。翔月。お兄ちゃんな、アイドルなんだよ」

 お兄ちゃんは目を細めて、テレビ画面を眺めていた。

「ふーん。本当にアイドルなんだ」

 私はテレビ画面に映るお兄ちゃんを立ちつくしたまま眺めて、目を輝かせた。

「…私…お兄ちゃんを推していい?」

 私はポツリとテレビ画面を見て、言う。

「え? 翔月が俺を推すの?」

 意外な答えにお兄ちゃんは箸でつまんだカボチャを皿に落とした。

「まぁまぁ、いいわね。お兄ちゃん、妹がファンになってくれるって。こんなに嬉しいことないわよね」

 お母さんはキッチンで作業をする手を止めて、エプロンで手を拭き、テレビ画面の目の前にいる私に駆け寄った。

「お兄ちゃんがアイドルしている姿見たら、やっぱり応援したくなるよね。お母さんも応援したくなるもん」

 お母さんは私の頭を撫でてから、お兄ちゃんに目線を向ける。