木漏れ日の中の光

 志津香ちゃんは見たことのない私の表情に目を見開いて聞いてきた。

「え?」

 私は思わず、聞き返した。

「詩」

「……なに?」

 志津香ちゃんに名前を呼ばれて、答える。

「本当に詩なんだよね。私こんな笑顔している詩初めてだよ」

 志津香ちゃんがなぜかもの悲しそうに私を見てきた。

 なんで? 志津香ちゃんがそんな顔するの。

 私が悪いみたいじゃない。

 私は下を向いて、黙っていた。

 何も言えない私に翔月が私の前に出た。

「……詩は詩なんだよ。あなたが見ていた詩だけじゃない。詩が悪いみたいな言い方はずるいと思う。詩を決めつけないで。詩、行くよ」

 翔月は両手を腰につけて、周りにはお客がいるのに大きい声で志津香ちゃんに言い捨てて、店を出た。

「翔月!」

 私の手首を掴んだまま、走った。

「いいの! 誰かを傷付けている無自覚野郎にはこんくらい分かってもらわないと、誰かの気持ちなんて理解しないから」

 翔月はいきなり、あー!と叫びながら、歩道を走り抜けた。

 その言動に驚きながら、私も同じように躊躇なく叫んだ。

 たくさん人がいるのなんてお構いなく、言いたいことを声に出していた。