木漏れ日の中の光

 駅近にあるとはいえ、あまり店内は広くない。

 すぐ混んでしまい、行列になるのも分かる。

 メニュー表を両手で持ち、一ページずつめくっていく。

「詩はどうする?」

 翔月はメニューと私を交互に見ながら、聞いてきた。

「そうだね」

 私は返事をすると、ある声が響き渡った。

「詩ちゃん?」

 名前を呼ばれて振り向くと、カフェの女性店員さんが声を掛けてきた。

 しかも、私の名前を呼んで。

 誰?

 私は首をひねり、女性店員に顔を向ける。

「まだ、マスクしてるんだね。詩ちゃん」

 この言い方、私の呼び方。

「志津香ちゃん」

 志津香ちゃんは、中学校の同級生で唯一仲が良かった友達だった。

「友達?」

 志津香ちゃんはトレーを持って、向かいにいた翔月に目を向け、私に聞いてきた。

「……うん」

 私は目を逸らして、志津香ちゃんに返事をする。

「あの…注文したいんですけど、いいですか?」

 私の違和感を感じ取ったのか、翔月が志津香ちゃんに手を挙げて注文をした。

「あ、すみません。はい、お伺いします」

 志津香ちゃんは翔月の方に身体を向き直して、注文品を聞いた。