木漏れ日の中の光

 私はトレーを両手で持って、下に俯いたまま、部屋へと戻った。

 ドアを優しく閉めてから、大きくため息をついた。

「はぁ…毎回、これはキツイな」

 トレーを机に置いてから、床に大の字になり、天井を見上げた。

 目を閉じて、さっきのことをすぐ忘れるように私は深呼吸を繰り返した。

「うんしょ…ご飯食べよう」

 私は重い身体を勢いよく起き上がり、自分の椅子に座り、“いただきます”と手を揃えて箸を取った。

「……うん、美味しい」

 首で頷きながら箸をつまみ、次々と口に入れる。

 美味しい。

 モグモグと食べて、すぐに一階へ下りた。

 降りたら、兄さんがいた。

 まだ、有給消化中だったのか。

 リビングには兄さんだけだから、なにも言われることはない。

 母さんがいるときは、兄という立場で強がんなくてはいけないと思っているのか私が現れる度、なにかしら言ってくる。

 音を立てずにドアを開けると、ソファーに座り、スマホを弄っていた。

 私には気づいていない。

 忍び足でキッチンのシンクに、トレーを置き、蛇口をひねり、スポンジを水で濡らした。

 洗剤をスポンジにつけてから、一枚ずつ皿を洗っていく。