あっという間に春休みが終わり、翔月とは学校では会わない約束をした。
お互い友達もいて、余計な詮索をされたくない。
その代わり、主にインスタのDMで頻繁に連絡を取り、学校外で会うことにした。
「花染~」
休み時間になり、鈴子は私を呼んでいた。
「どうした?」
「STELLAが、STELLAが……」
「ああ、あの男性アイドル?」
「そう、それが近くのイオンモールに来るの。すごくない?」
荒い息を整えて、鈴子は目を輝かせていた。
「……す、すごいの?」
私は鈴子のテンションについていけなくて、少し間を置き、返事をした。
「すごいんだよ! あの地元アイドルが全国デビューして、イオンに来るんだよ。もう、すごいんだよ」
鈴子の熱量は、以前にも増して高くなっている。
「おっ、おっ…」
私は反応に困っていると、クラスメイトが私たちの話し声が聞こえたのか割って入ってきた。
「なになに? STELLAの話?」
クラスメイトの一人が興味津々に話を振ってきた。
「そう、知ってる?」
「知ってるよ、私、ファンだもん」
「え? そうなの! 誰推し?」
お互いSTELLAのファンということで鈴子とクラスメイトは一気に仲が深まっていた。
「…よかったね」
私はポツリと呟き、自分の机に突っ伏した。
鈴子とクラスメイトは自分の推しを語っていた。
鐘が鳴り響き、「また、あとでね」と鈴子とクラスメイトは手を振って、それぞれ自分の席へ戻っていった。
私はそんな二人を見て、ただ穏やかに見つめていた。
終礼が始まり、黒望先生は担任らしい言葉を生徒に伝えた。



