木漏れ日の中の光

 そのため、リハーサルや生活指導の時間が多くなっている。

「ふぅ……」

 私は息を整えた。

 髪をかき分けてから、自分の部屋に戻ろうとしたら、リビングから大きな声がした。

 私に用があるのか? 他のことか?

 念のため、リビングのドアを開けて、入った。

「なに?」

 私は用事があるかと思い、母さんに聞いた。

「なにじゃないよ。……これ」

 母さんは、はちみつを指差していた。

「あ、うん」

 私は母さんに返事をして、すぐに部屋へ戻ろうとした。

 すると、ソファーに座っていた兄さんが重い腰を上げて、私の方に歩み寄ってきた。

「おい、詩。少しは家族と会話しろよ。お前、もう高二だろ。しっかりしろよ」

 私のことを冷ややかな目で見下した。

 兄さんの言葉に母は後ろを振り向き、私の方を見ていた。

 その目は兄さんの目と同じだった。

 ただ、私のことを人としてではなく、何かの物として扱っている。

「か、関係ないでしょ!」

 私はその場を後にした。

 このまま、リビングにいると、視線の波に耐えられなくなった。

 あの目は、何回見ても胸にくる。