木漏れ日の中の光

 私はそっぽを向けて、周りのクラスを見渡した。

 クラスには、スマホを見て笑い転げている人や真剣に勉強をしている人がいた。

 黙々と、何かを読んでいる人がいた。

 いろんなクラスメイトがいたんだ。

 見えているようで見えていなかった、みんなのこと。

 私は鼻までマスクをつけていた。

 マスクをギュッと手に握って、目を逸らす。

「あ、詩。これから小テストあるからここらへん出るみたいだよ。詩」

 鈴子の声が聞こえているのに、私は身体が固まって動けなかった。

「詩?」

 鈴子が返事してるんだよ、私早く返事しなよ。

 自分に問いかける。

 私の頭の中では、想像なのに映像のように浮かんでいた。

 鈴子が私の中で不敵に笑みを浮かべている。

 私を見下している鈴子の姿まで、はっきりと見えた。

「……」

 想像の世界なのに、やけにリアルだ。

 それでも、私は今の鈴子を信じるしかない。

「……鈴子の言葉、信じてるよ」

 私は鈴子の目を捉えて、まばたきをせずに見続けた。

「……う、うん」

 意を決した私に戸惑いを浮かべながら、返事をした。

「あ、勉強しなくちゃ」

 私は独り言を呟いて、自分の席へ戻った。