木漏れ日の中の光

 鈴子は少し下を向いてから、一気に言葉を吐き出した。

「翔月を知ってるの?」

 翔月のこと、なんで?

 私は目を見開き、鈴子と見合った。

「……知ってるよ。二人で話しているのも出かけているのも。全部分かってた」

 いつからだ?

 私が翔月と出会った頃からか。

「そ、そうだったんだ」

 私はあいまいな返事をした。

 心の奥にしまい込んでるものが鈴子の前で出ないように唾を飲み込んだ。

「ねぇ、なんで聞かないの? なんで翔月さんのこと知ってるの? とか。どこから分かってたとか気にならないの? 詩にとって私は友達じゃないの?」

 私が聞かないのは聞いたって、今ある事実は変わりない。

 知ってもどうしようもないからだ。

 声が大きかったので、バスの車内ではほかの女子生徒がこちらを覗いてきた。

「ゴホッ。鈴子は友達だと思っている。本当にそう思っている。でも、私は話せない」

 わざと咳ばらいをしてから、膝の上にあった鞄を両手で握り、静かに答える。

「なんで?」

 さっきよりも低い声で鈴子は私に尋ねる。

 鈴子がどんな顔をしているのかは分からない。

 だけど、ひとつ分かる。