木漏れ日の中の光

 私は何事もなかったように苦しみは消えていかないけど、なにかしないと私の感情がバラバラになってしまう。

「あはは、あはは」

 私はずっと声を出して泣いた。

 止まることのないこの笑いに気づいたかのようにドアのノック音がした。

「……はい」

 後ろを振り返り、手で涙を拭ってから、ドアを開けた。

「兄さん」

 ドアの音の正体は兄さんだった。

「詩。大丈夫か?」

「へぇ?」

 思わず、変な声が出た。

 兄さんは目を細め、腕を組んで、ドアに寄りかかった。

「兄さんこそ、いいの? 母さんとあんな風になって」

 私は兄さんを上目遣いで見た。

「……いいんだよ。別に。俺だって、我慢してたんだから。俺も変わらないといけないと思ったし、きちんと詩と向き合わないといけないと思ってた。だから、いい機会。このまま、俺は母さんとは話さないよ。詩を認めてくれるまで俺はなんもしない」

 そこまでして、兄さんは母さんと闘おうとしている。

「兄さん。別に私のこと気にしなくてもいいんだよ」

 私は左手を腕に添えたまま、下を向いた。