木漏れ日の中の光

 母さんは私を一度見てから、俯いた。

 母さんは黙っていたので、兄さんはまた声を出す。

「母さんがそういう態度なら、俺は母さんと口を利かない。きちんと詩と向き合って、謝って」

 兄さんは私の手を離して、自分の部屋へと戻った。

 取り残された私は母さんの方へ視線をうつした。

 母さんはその視線を感じて、少し見てからまた何かを作業し始めた。

 私のことは別にどうでもいいんだな。

 兄さんのことしか考えていない。

 まぁ、そうだよね。

 今までもこんな感じだったよね。

 すぐ変わる訳ないか。

 私は踵を返して、自分の部屋へ帰った。

 ガタンと自分の部屋のドアを閉めた。

 ドアの前で崩れ落ちて、顔を膝の中に入れて、ため息を吐いた。

「もう、どうしようもないよね」

 私には兄さんがいた。

 いなかったら、私どうなってたんだろう。なにも出来なくて、私壊れていたかも。

 兄さんの存在が、まだ私を私でいさせてくれるのかな。

 マスクを強引に取って、目の前に捨てた。

「ふぅ……はぁはぁ」

 私は壊れたように声を出して笑った。

 笑わないと、この苦しみは解けない。