木漏れ日の中の光


 兄さんの隣にいたら、必ず握っていた手。

 中学に入ったら思春期も重なり、恥ずかしさと兄妹で手を繋ぐことには意味がないと思ったからだ。

 今は思う。

 手を繋ぐ意味はあった。

 この手に守られて、私は過ごしてきたんだ。

 久しぶりの兄さんの手は男らしくゴツゴツしていて、私もギュッと兄さんの手を握り返した。

「……私も兄さんと一緒だよ。父さんが心臓発作で亡くなって、母さんが頑張って私たちを支えてくれている。今だって、そう。分かってるよ、母さんが頑張ってくれていること。分かってるけど、私たちは私たちなりに頑張ってる。見守ってほしいの」

 母さんに伝わるように兄さんの手をまた強く握りしめた。

 強く握った手を兄さんはちらりと見て、私の顔を眺めていた。

 視線を感じて、兄さんの方に顔を向けた。

 兄さんはにこりと口角を上げて、嬉しそうだった。

 兄さんも私と同じように感じているのかな。味方がいるって、こんなに心強いんだって。

「……あなたたちの言いたいことは分かった。じゃあ、社会に出たら、どうするの? 将来は? 結婚は? いろいろ考えることだってあるでしょ。未来のことまでちゃんと考えてる?」