木漏れ日の中の光

 そんな思いが交錯する中、私は家に辿り着くために駆け足で走り出した。

「はぁ……はぁ」

 私は家のドアを勢いよく開けて、玄関先で息を切らした。

 身体全体で息を整えながら、靴を脱いだ。リビングのドアノブを掴み、前を向き直してから足を踏み出した。

 リビングの中には兄さんと母さんがいた。開いたドアを二人は同時に見て、私が来たことで目を伏せて、何も言わなかった。

「私、言いたいことがある!」

 私と目が合わないように下を向いていた二人はこちらを向いた。

「……なに?」

 母さんは冷たい声で作業する手を止めずに言い放った。

「……本当はマスクを取りたい。でも、取れない理由があるのは事実。それをただ受け止めてほしい。私のこと、分からなくていいから。ただ、私は受け止めてもらいたいだけなの」

 私はマスクを手で握って、目を潤ませた。

 必死に伝われという想いを目に宿らせて、二人に伝える。

 二人は黙り込んでいた。

 すると、最初に口を開いたのは兄さんだった。

「詩がそういうなら、俺たちは何も言うことない。詩が好きなようにしてもいいよ」

 兄さんは優しく微笑んで、また読んでいた雑誌に目をうつした。