木漏れ日の中の光

 兄さんの手を強く握り直して、私も謝った。

「あのさ、俺に話せてないことないか?」

 兄さんはゆっくりと手を離してから、上目遣いで聞いてきた。

「………」

 私は黙った。

 話したいことは翔月には話した。

 兄さんに言ったとしても、何になる? なにもならない。

 兄さんの優しさは分かっている。

 兄さんにはただ、私の話を聞いてくれればいい。

 それだけ。兄さんには何も願っていない。

「兄さん。大丈夫だよ。なにもないから」

 私は嘘で固めた笑顔をニコリと浮かべて、兄さんにそう答えた。

「……なら、いいんだ。なにかあったら言ってくれ。頼りない兄だけど」

 兄さんは少し微笑んでから、私の頭を撫でて、部屋から出て行った。

 ゴメン。兄さん。

 家族には言えないことだってある。

 私はまたため息を吐いて、ベッドに横たわる。

 目を瞑って、また眠りについた。

 翌日

 私は昨日熱があったのが不思議なくらいに身体が軽くなった。

「これは大丈夫だな」

 今日は幸いなことに日曜日。

 特に何もすることはない。

 一階に降りて、リビングに足を運んだ。

 昨日と同様、母さんはおらず、兄さんだけだった。