木漏れ日の中の光

 黒望先生が追ってくる可能性があるし、他の先生が来るかもしれない。

 急いで履き替えていると、黒望先生が階段を降りていた。

「翔月。黒望先生があそこまで来てるよ!」

 私は翔月にねぇねぇと呼ぶと、翔月は私の方を振り向いた。

「ヤバい。早く、早く」

 翔月は急いで靴を履き、私たちはまた駆けだした。

「どこ行くの!」

 黒望先生は両手を腰にあてて、仁王立ちで勇ましく立っていた。

 それを見た私はとにかく笑いがこみあがってきた。

 生徒想いな先生なのは間違いないけど、怒っている姿の黒望先生がレアなので何度でも見たくなってしまう。

 黒望先生の顔をずっと後ろを振り向いたまま見ていたら、翔月が声を上げた。

「詩! 後ろ見てたら転ぶから。行くよ!」

 翔月が大きい声で叫ぶと同時に、私は一瞬目を瞑ってから前を向いた。

 黒望先生、ゴメンね。

 でも、今ねここにいても――私無理なんだ。

 黒望先生に言っても、分かってもらえないと思う。

 私が悩んでいることは、私しか分からないから。

 学校から出たら少し離れたところで私たちは足を止めた。

 さすがにまだ若いとはいえ、疲れた。

「はぁはぁ……」