塾が終わった後の楽しみは、フォローしているSNSアカウントの巡回だ。
帰宅ラッシュを少し過ぎた車内、車掌室とを隔てる壁にもたれて、制服の女子学生はスマートフォンに親指を走らせていた。
「……あれ」
磨いた爪先が、一つのアイコンの上で止まった。アカウント名は、2ki_days。プロフィールには「男子高校生×2」とだけ書かれている。
一年前、同世代の高校生のアカウントを探している中で見つけた、地味な日常系の友達同士による日記アカウントだった。
丸く切り抜かれたプロフィールアイコンが、新しくなっている。少し前まで、派手な赤色の毒キノコだったはずだ。それがスニーカーに替わっている。デザインの違う男物のつま先が二つ、隣り合って並んでいた。
「新学期になるからかな」
女子学生は指を止めたまま、その丸を数秒見た。それからアカウントを開く。最新投稿のサムネイルをタップすると、写真が画面いっぱいに表示された。
映っているのは、二本の腕。片方は日焼けして血管が浮き出た腕と、大きな手。もう片方は色が白く、指が細く長い。二つの手が、指を絡めて繋がれていた。背景は焦点が合っておらず、青とも緑ともつかない色の中で光が点になって散っている。
キャプションは、
――よろしく
「これって、そういう、こと……っ? ごほん」
漏れ出した独り言を、咳払いで誤魔化す。
投稿時間は、同じ日の昼だ。夜のこの時点で、コメントの数は三桁に届こうとしている。日本語の他、韓国語、中国語、英語と多国籍だ。どれも、なんだか浮き足だったお祝いコメントが目立つ。
「そっかぁ……やっぱりね」
フキダシマークをタップして、コメント入力欄を開く。自宅の最寄駅に到着するまでの十数分間、女子学生はコメントの文面を悩み続けた。
帰宅ラッシュを少し過ぎた車内、車掌室とを隔てる壁にもたれて、制服の女子学生はスマートフォンに親指を走らせていた。
「……あれ」
磨いた爪先が、一つのアイコンの上で止まった。アカウント名は、2ki_days。プロフィールには「男子高校生×2」とだけ書かれている。
一年前、同世代の高校生のアカウントを探している中で見つけた、地味な日常系の友達同士による日記アカウントだった。
丸く切り抜かれたプロフィールアイコンが、新しくなっている。少し前まで、派手な赤色の毒キノコだったはずだ。それがスニーカーに替わっている。デザインの違う男物のつま先が二つ、隣り合って並んでいた。
「新学期になるからかな」
女子学生は指を止めたまま、その丸を数秒見た。それからアカウントを開く。最新投稿のサムネイルをタップすると、写真が画面いっぱいに表示された。
映っているのは、二本の腕。片方は日焼けして血管が浮き出た腕と、大きな手。もう片方は色が白く、指が細く長い。二つの手が、指を絡めて繋がれていた。背景は焦点が合っておらず、青とも緑ともつかない色の中で光が点になって散っている。
キャプションは、
――よろしく
「これって、そういう、こと……っ? ごほん」
漏れ出した独り言を、咳払いで誤魔化す。
投稿時間は、同じ日の昼だ。夜のこの時点で、コメントの数は三桁に届こうとしている。日本語の他、韓国語、中国語、英語と多国籍だ。どれも、なんだか浮き足だったお祝いコメントが目立つ。
「そっかぁ……やっぱりね」
フキダシマークをタップして、コメント入力欄を開く。自宅の最寄駅に到着するまでの十数分間、女子学生はコメントの文面を悩み続けた。

