キミの1番にはなれないと思ってたけど、



ーー放課後ーー

今日は誰からもヘルプを頼まれることはなく、いつも通りの学校を出た。


駅へ向かって歩いていると、

「弦」

後ろから声をかけられた。

振り返る。


『あ、慧』

そこにいたのは、久世(クゼ) (ケイ)

小学生の頃からずっと一緒にいる、俺の幼馴染だ。


通っている学校が違えど、

未だに付き合いのある友達は、俺にとっては珍しく、ありがたい存在だ。

中学の頃、友人関係でいろいろあった時も、こいつだけは離れずにそばにいてくれた。

今でも適度に会っていて、

中間テストで理数系が平均90点近くとれたのも紛れもなくこいつのおかげだったりもする。


「今帰り?」

『うん。慧は?』

「今から塾、でも授業までは早いからちょっとカフェで時間潰そうかと」

『え、勉強するってこと?』

「うん」

『うわぁ、偉いな』

「いやいや、皆これが普通なのよ」

『すげぇな、俺、絶対入れないわ〜』

「そもそも受かんないだろ」

『失礼だな!…まあそうだろうけど(笑)』

「ははっ、否定しろよ(笑)」

と笑い合う。


今日は久しぶりではないけど、会ってない期間が続いたとしても、この距離間だから助かる。


「あのさ、良かったら一緒にお茶しない?」

と慧の方から誘ってくれた。

『え、いいの?自習するんじゃ』

「んー…テスト終わったとこだし、俺も息抜きたまにはしたいから付き合ってよ」

『慧が良いんならお安い御用よ』

「やったね、じゃああそこ行こ」

『おう』


ー1時間後ー…

俺がほぼ喋り倒して、

たまに慧がツッコんでくれていたら、すぐに塾の時間が迫ったため、カフェを後にした。

学校ではあまり話さないようなことも、慧とは何も考えずに話せる。

昔からずっとそうだった。

2人にとっての分かれ道となる駅へ向かっていると、


「……あれ」

ふと、慧が前を見た。

「弦、あの人知り合い?」

『え?』

「なんかめっちゃこっち見てるから」

慧の視線を追う。

少し先。

駅へ向かう道のちょっと先の信号機待ちで、見覚えのある人が立ち止まっている。

『……あ、深町だ』

俺が呟くと、

「深町?」

慧が聞き返す。

『うん、同じクラス』

「へえ」

『話しかけてもいい?』

「いいよ、まだ時間余裕あるし」

という発言を聞くなり、

『深町!』

と呼びかけると、

深町は少し驚いたような顔をして、

信号が青に切り替わった瞬間に、

左右をキョロキョロしながら横断歩道を渡り、それからこっちへ歩いてきた。

「瀬良」

『今帰り?』

「うん」

会釈し合っている2人を横目に、

『そっか、お疲れさま』

「ありがと」

深町はそう言って、隣にいる慧をまたチラッと見る。

「……お友達?」

『ああ、うん』

「そっか」

何故かそれ以上、深町は何も聞かなかった。

こちらから説明すべきだよな?と考えていると、

深町が先に口を開いた。


「ごめんね、お邪魔して」

『いやいや、全然(笑)』

「…じゃあ、また明日」

『…うん、また明日』

深町はそのまま駅の方へ歩いていった。

それを見届けて、俺も慧と歩き出す。

もしかして気を遣わせちゃったかな?

明日、謝らなくちゃ。


「仲良いの?」

『最近までは話したことなかったんだけど』

「へえ」

『でも今はよく喋るかな、今度の体育祭でペアにもなったし』

「…ペア?何の?」

『二人三脚』

「おー…頑張らなきゃじゃん」

『ね』

「また結果教えて」

『わかった(笑)』

興味がなくなったのか、慧はそれ以上何も聞かなかった。

その後、すぐに解散した。