ーーお昼明けてすぐーー
5時間目と6時間目は、予定通り体育祭の練習になった。
雨がまだ降っているため、全員体育館に集合する。
クラスごとに分かれて、競技の説明を聞いたり、整列の練習をしたり。
まだ本番までは少しあるから、そこまで本格的ではない。
「瀬良、次こっち」
『え?』
当日の大体の待機列を確認中に、少し先にいた深町が人混みの中、俺に向かって手を上げた。
「こっち」
『あ、うん』
ザワザワ…
と仮にも授業とは思えない、各々に話している人と人の間を抜けて、深町のところへ向かう。
「そこ、違う列」
『え、マジ?』
「うん」
『危なっ…、普通に間違えるところだった』
「瀬良、さっきからぼーっとしてない?」
『……眠いんだよ』
「ちゃんと寝えや」
『深町に言われたくない』
「なんで?」
『昨日は早かったにしろ、どうせこれから遅くまで生徒会やるんでしょ?』
「なんで知ってるん?」
『実行委員の佐藤も忙しそうだし』
「あー…なるほど」
『このシーズンは特に忙しいだろ』
「ああ、役職のついてない俺も駆り出されるくらいやからな」
深町が少し笑う。
「てかよく生徒会や、って覚えてるな」
『いや、普通だろ』
「普通なんや(笑)」
前にも長谷部とそんな会話してたし…
そんな会話をして、整列し直すよう先生から指示があったので、また列に戻ろうとした。
そのとき。
「瀬良」
『ん?』
「ちょっと待って」
深町が一歩近づく。
『……何?』
「髪」
『え?』
「動かないで」
そう言って、深町の手が伸びてきた。
指先が、前髪に触れる。
『……』
一瞬、何をされているのか分からなかった。
「ここ、跳ねてる」
『……あ』
指先で、乱れた髪を軽く整えられる。
ほんの一瞬。
それだけ。
「はい、直った」
『……ありがと』
「ん」
深町は何事もなかったみたいに、元の位置へ戻った。
俺はその場に立ったまま、少し遅れて自分の前髪に触れる。
……。
なんで。
『……自分で直せたけど』
小さく呟いて抵抗してみる。
もちろん、深町には聞こえていない。
別に、嫌だったわけじゃない。
むしろ。
……いや。
何を考えてるんだ、俺。
「瀬良?」
『……あ、ごめんごめん』
慌てて追いかける。
5時間目と6時間目は、予定通り体育祭の練習になった。
雨がまだ降っているため、全員体育館に集合する。
クラスごとに分かれて、競技の説明を聞いたり、整列の練習をしたり。
まだ本番までは少しあるから、そこまで本格的ではない。
「瀬良、次こっち」
『え?』
当日の大体の待機列を確認中に、少し先にいた深町が人混みの中、俺に向かって手を上げた。
「こっち」
『あ、うん』
ザワザワ…
と仮にも授業とは思えない、各々に話している人と人の間を抜けて、深町のところへ向かう。
「そこ、違う列」
『え、マジ?』
「うん」
『危なっ…、普通に間違えるところだった』
「瀬良、さっきからぼーっとしてない?」
『……眠いんだよ』
「ちゃんと寝えや」
『深町に言われたくない』
「なんで?」
『昨日は早かったにしろ、どうせこれから遅くまで生徒会やるんでしょ?』
「なんで知ってるん?」
『実行委員の佐藤も忙しそうだし』
「あー…なるほど」
『このシーズンは特に忙しいだろ』
「ああ、役職のついてない俺も駆り出されるくらいやからな」
深町が少し笑う。
「てかよく生徒会や、って覚えてるな」
『いや、普通だろ』
「普通なんや(笑)」
前にも長谷部とそんな会話してたし…
そんな会話をして、整列し直すよう先生から指示があったので、また列に戻ろうとした。
そのとき。
「瀬良」
『ん?』
「ちょっと待って」
深町が一歩近づく。
『……何?』
「髪」
『え?』
「動かないで」
そう言って、深町の手が伸びてきた。
指先が、前髪に触れる。
『……』
一瞬、何をされているのか分からなかった。
「ここ、跳ねてる」
『……あ』
指先で、乱れた髪を軽く整えられる。
ほんの一瞬。
それだけ。
「はい、直った」
『……ありがと』
「ん」
深町は何事もなかったみたいに、元の位置へ戻った。
俺はその場に立ったまま、少し遅れて自分の前髪に触れる。
……。
なんで。
『……自分で直せたけど』
小さく呟いて抵抗してみる。
もちろん、深町には聞こえていない。
別に、嫌だったわけじゃない。
むしろ。
……いや。
何を考えてるんだ、俺。
「瀬良?」
『……あ、ごめんごめん』
慌てて追いかける。
