アラサー塾講師の出張メシ 夜のお供はコンビニガチ中華ですけど何か?

 ホテルの部屋でスーツを脱ぎ捨て、買ってきた物を広げる。

 一人御飯のお供は信長のあのゲームのプレイ動画ですよ。

「なんでその兵力で攻め込むのよ」などと、ツッコミを入れつつ、まずはサラダから。

 ――あれ?

 あらゆる不健康を上書きしてくれるはずが、中華クラゲがメインのサラダはあんまり野菜が入ってないじゃん。

 コリコリ食感はたしかに癖になるけど。

 お次は魯肉飯、と蓋を開けた瞬間、部屋全体に八角の香りが充満し、口に入れた瞬間、鼻の奥まで一気に駆け上がる。

 うおっふ。

 あまりの強さに思わずむせてしまった。

 甘めに煮込まれたお肉の味が花椒の刺激で隠されちゃって、漢方薬を食べているみたい。

 なのに、なんだろう、癖になる味だ。

 台湾で食べた味にかなり近いからかな。

 苦手な味って、一度気になり始めると、なぜか確かめたくなるのよね。

 真っ赤っかな辣子鶏はどうだろう。

 蓋を開けると、香りはそんなに強くはないけど、見た目だけでやっぱり背筋が凍る。

 大丈夫、これ?

 本当に行ける?

 黒帯同士の柔道みたいな睨み合いの末、思い切って大きな唐辛子を丸ごと口に放り込む。

 ん?

 あれ?

 辛く……ない。

 後から来るのかと身構えたけど、まったく何も起こらなかった。

 パプリカみたいな野菜だと思えばいいのかな。

 見た目はものすごく辛そうなのに。

 と、思ったら、なんか来た。

 唐辛子じゃない。

 花椒!?

 舌がぴりぴり痛み出し、口の中が一気に騒がしくなる。

 くうぅ、こっちが本命だったとは。

 柔道の横からカンフーの一撃。

 でも、これはこれで鶏肉が淡泊な分、味がはっきりしていい。

 唐辛子が野菜なら、もしかして、サラダよりよっぽどヘルシーかも。

 それでも、食べ終わると舌が膨れて口の中が熱くて、そば茶でクールダウン。

 うわわ、体中から汗が噴き出してきた。

 このままシャワーを浴びちゃおうか。

 トレーニングでもしてたかのようなびしょ濡れの体を洗い流してスッキリ爽快デトックス。

 ガチ中華シリーズ、いいかも。

 明日からもいろいろ試してみようかな。