Love After The Loop

 昨日は散々遊びつくして満足したこともあって久しぶりによく眠れた、そんな朝だった。
 朝一番に縋るような思いでスマホで確認した日付は、やっぱり『22日』。分かり切っていた事実ではあるが、やはりへこむ。

(…やっぱり、学校を1日サボったくらいじゃ何も変わらないか)

 ため息を吐きながら寝癖のついた頭を掻いた、その時だった。
 左手に、妙な違和感を覚えた。

 違和感の正体を確かめるために視線を落とすと、自分の左手の人差し指に昨日買ったのあの銀色のペアリングが光っていた。

「は……?」

 あり得ない。
 日付は確かに『22日』へと巻き戻っているのに、なぜか昨日買った指輪だけが現実として俺の指に残っている。

 思考が完全にフリーズしていた俺の耳に、スマホのけたたましい着信音が飛び込んできた。画面に表示された『郁真』の文字を見て、弾かれたように通話ボタンを押す。

「もしも、」
『指輪!!!唯斗、指輪残ってるか!?』

 スピーカーモードかと疑うほどの大音量に思わず耳を遠ざけつつ、俺は見えていないにも関わらず必死に頷きながら答えた。

「あ、ある!!指輪、左手の人差し指に嵌ったまま!!」
『やっぱり唯斗もか…!』

 電話越しの焦りようから察するに、郁真の手元にも指輪が残っているのだろう。
 何十回、何百回と繰り返してきた不条理なループの世界に初めて生まれた決定的な【綻び】。

『と、とりあえず学校で!詳しいことは学校で話そう!!』
「おう、すぐ行く!!」

 通話が切れてからも、俺の思考は左手で鈍く輝く指輪に支配されていた。
 制服に袖を通す手ももどかしく、身だしなみもそこそこに、俺は弾かれたように家を飛び出した。