自動ドアをくぐってゲームセンターに入ってからは、輪をかけてくだらない時間の使いみちをした。
まだ開店直後で客もほとんどいない店内には、電子音と派手なBGMが虚しく響いている。最初は音ゲーの筐体に2人並んで100円を投入し、適当にリズムに乗って遊んだ。
そのあとは、あてもなく広いクレーンゲームのコーナーを練り歩いた。ガラスの向こうに並ぶカラフルな景品を眺めていると、郁真がある台の前で足を止めた。アニメのキャラクターの巨大なぬいぐるみだ。
「これ、唯斗に似てない?」
「似てねぇよ。どこがだ」
「この、ちょっと不機嫌そうな目元とか」
そう言って笑うと、郁真は迷わず100円玉を投入口へ滑り込ませた。だが、アームの力は笑ってしまうほど弱く、ぬいぐるみはピクリと持ち上がっただけで、すぐに元の場所へゴトンと落ちた。
「…あ」
「だから言ったろ。それ、絶対設定金額に達するまで取れない構造だって」
横から呆れ顔で笑い飛ばす俺を無視して、郁真は悔しそうに次の100円玉を取り出した。
「いや、いけるって。今のプレイでアームの癖は掴んだ。次は重心が変わる」
「何を根拠に言ってんだよ」
「俺の鋭い直感」
「根拠じゃねーじゃん」
「うるさいな。次は絶対に取れるから見てて」
懲りずにまた100円を入れる。「もう1回」と呟いてお金を入れる郁真を見て呆れてしまう。
ただでさえ22日がループしてるんだから、こんなところで同じ光景の再上映はやめてほしいところ。
「もう1回!」
「その台詞、もう4回目な」
「じゃあ5回目も言ってやる」
「少しは学習しろよ」
両替機と筐体を往復しながら、あいつはムキになって何度も挑戦を続けた。アームが虚しく空を切るたびに大袈裟に頭を抱え、俺がそれにツッコミを入れる。
結局、両替した1000円がすべて消えてもぬいぐるみは微動だにせず、俺たちの手には何も残らなかった。
「うわー…。マジで取れなかった……」
財布を覗き込んでガックリと肩を落とす郁真を見て、俺は思わず吹き出してしまった。
「言わんこっちゃない」
「まあ、いいや。明日にはお金も戻ってくるだろうし」
「ループしなかったら?」
「それはそれで喜ぶからいい」
時間の無駄とお金の無駄で、学校をサボっているというのに何ひとつ形になるものは得られなかった。だけど、胸の奥がじんわりと熱くなるくらい、妙に楽しかった。
まだ開店直後で客もほとんどいない店内には、電子音と派手なBGMが虚しく響いている。最初は音ゲーの筐体に2人並んで100円を投入し、適当にリズムに乗って遊んだ。
そのあとは、あてもなく広いクレーンゲームのコーナーを練り歩いた。ガラスの向こうに並ぶカラフルな景品を眺めていると、郁真がある台の前で足を止めた。アニメのキャラクターの巨大なぬいぐるみだ。
「これ、唯斗に似てない?」
「似てねぇよ。どこがだ」
「この、ちょっと不機嫌そうな目元とか」
そう言って笑うと、郁真は迷わず100円玉を投入口へ滑り込ませた。だが、アームの力は笑ってしまうほど弱く、ぬいぐるみはピクリと持ち上がっただけで、すぐに元の場所へゴトンと落ちた。
「…あ」
「だから言ったろ。それ、絶対設定金額に達するまで取れない構造だって」
横から呆れ顔で笑い飛ばす俺を無視して、郁真は悔しそうに次の100円玉を取り出した。
「いや、いけるって。今のプレイでアームの癖は掴んだ。次は重心が変わる」
「何を根拠に言ってんだよ」
「俺の鋭い直感」
「根拠じゃねーじゃん」
「うるさいな。次は絶対に取れるから見てて」
懲りずにまた100円を入れる。「もう1回」と呟いてお金を入れる郁真を見て呆れてしまう。
ただでさえ22日がループしてるんだから、こんなところで同じ光景の再上映はやめてほしいところ。
「もう1回!」
「その台詞、もう4回目な」
「じゃあ5回目も言ってやる」
「少しは学習しろよ」
両替機と筐体を往復しながら、あいつはムキになって何度も挑戦を続けた。アームが虚しく空を切るたびに大袈裟に頭を抱え、俺がそれにツッコミを入れる。
結局、両替した1000円がすべて消えてもぬいぐるみは微動だにせず、俺たちの手には何も残らなかった。
「うわー…。マジで取れなかった……」
財布を覗き込んでガックリと肩を落とす郁真を見て、俺は思わず吹き出してしまった。
「言わんこっちゃない」
「まあ、いいや。明日にはお金も戻ってくるだろうし」
「ループしなかったら?」
「それはそれで喜ぶからいい」
時間の無駄とお金の無駄で、学校をサボっているというのに何ひとつ形になるものは得られなかった。だけど、胸の奥がじんわりと熱くなるくらい、妙に楽しかった。



